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配給会社の方からお誘いいただいていた映画の試写会に行ってきた。 題名は『マルタのやさしい刺繍』(原題『コルチカム』は、土や水を必要としない珍しい植物の花の名前だそう)。スイスの映画だ。 その邦題からくる自分勝手なイメージのせいか、実はあまり期待をしていなかったのだが、これがとても良かった。最近見た映画の中でも群を抜いている。 舞台は、のどかな風景が広がるスイスの田舎町。 ![]() 夫に先立たれた80歳のマルタは、失意の日々を送っていたが、若い時の夢だったランジェリーブティックを始めようと動きだす。ところが、厳格なキリスト教を基盤にした保守的な村(コミュニティ)の中で、いろいろな軋轢が生まれ、迫害にも合うが、徐々に味方が増えて、最後はめでたしめでたしという物語だ。 インターネットなどが出てこなければ、何十年前の話?と錯覚してしまう。 自由の象徴として「アメリカ」が扱われるのとともに、古い束縛からの解放、女性たちの解放を象徴するのが「ランジェリー」。それらに眉をしかめる保守勢力との闘いというのは、昔ながらの常套手法だが、この映画が今の時代に強く響くのは、何より高齢化社会の問題が深くからんでいるからに違いない。 この映画の登場人物たちが抱える、家族の問題やさまざまな悩みは、はるか1万キロ離れた日本と少しも違わないのだ。 また、高齢者たちの生きがい探しやビジネスモデルという観点からも見ることができる映画だ。 何といっても、主人公のマルタをはじめ、核となる4人の女性がそれぞれに個性的。ヨーロッパって、こういうおばあさん、いる、いるという感じ。まったく違うタイプの4人の女性が、次第に共感を深め、協力し合っていく姿は美しい。それを通して、それぞれに幸せを見つけていく姿にホロリとさせられる。 一方、権力を持つ男たちのヒステリックなこと! 女性が自分の意思で活動するようになると都合が悪いのは、まさに彼らだからだ。 「年齢は関係ない!」、マルタがそう叫ぶシーンも印象に残る。そういえば、ファッションの中でもランジェリーほど、年齢に関係ない分野はない。 あらゆる世代の心に、深いメッセージを与えてくれる映画だ。自分の欲求にフタをしてはいけない。自分自身をもっと解放させよう、と。 監督は30代の女性。「シネスイッチ銀座」で秋に一般公開される。 www.alcine-terran.com/maruta/ |




