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5.ネット通販出身者がケータイ(モバイル)通販のカルチャーを変える
残念ながら、まだまだ検索エンジンが十二分に機能していないケータイ(モバイル)通販の世界では、メールマガジンの頻繁な送信によるpush型マーケティングが主流になっている。
ネット通販の世界の「AISAS」の法則が、ケータイ(モバイル)通販では「AIDPA」、つまり、P=pushと言われる所以なのだが…。
しかし、そんなケータイ(モバイル)通販の世界も、昨年くらいからかなり違った様相を呈し始めているように私の目には見える。
それは、ネット通販の世界で成功した中小のネットショップさん達がどんどんケータイ(モバイル)通販の世界にも参入し、ネットで培ったカルチャー、顧客とのコミュニケーションスタイルを持ち込み始めたように見えるからだ。
auショッピングモール内の店舗の中には、食品系の通販なんかでお客様からびっくりする位の数のレビューを集めているショップさんがある。最初は、リアルから連れてきた既存の顧客さんの書き込みだったのかもしれないが、そういう様子を見れば、ケータイしか使わない皆さんだって「私も書いてみようかな」と思うでしょうからね。
ネットショップの店長さん達は、モバイルのピュアプレイヤーよりも年齢層が高く、リアルの中小企業経営者や地方在住者だったりと、人生の苦労も積み重ねている「大人」が多い。取扱商品にもヤング一辺倒の偏りがなく、幅広い客層を呼び込める力を持っている。そして、コミュニケーションのあり方も一方的なものではなく、双方向に近いんですよ。
こういう企業さんの参入が増えてくれば、ケータイ(モバイル)通販の世界も、もっともっと豊穣なものになってくるのではないかと思うのだ。
6.無名ネットショップの救世主となるか?SEM/SEO対策が徐々に普及
昨年2006年のモバイル業界の大きな話題の1つが、主要3キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)が検索エンジンを搭載した、ということであった。
私はそれよりも前から、かなりよくケータイの検索エンジンを利用しているのだが、正直、昨年秋以降も、精度はまだまだ低いな、と思っている。
どうやら、公式サイトの外部リンクが制限されていることが、検索エンジン側の正確なサイト評価を妨げているようなこともあるらしい。
しかし、そうは言えども、PC上のネットニュース等で、昨年秋以降はモバイルのSEM/SEO対策の話題をかなり見るようになった。合わせて、モバイル広告に関するトピックスも増えてきているようである。
現状のモバイルの世界は、まだ「1.0」で、ネットの世界で言うと1998から1999年前後のレベルか、という話もあるようだ。モバイル広告費はネットの10分の1ということで、モバイルが先行しているファッション業界の実感とはかなり感覚的な差がある。
ただ、技術革新は、ある時期に一気にブレイクする、というのはよくある話で、ケータイ(モバイル)通販を本気でやりたい人はそのタイミングを逃さないように一気に攻められるよう準備をしておく必要がある。モバイルの世界は、ドッグイヤーではなく、マウスイヤー(1年がリアルの世界の12年に相当する)だという話もある。ネットの経験もあるので、一旦動き出したらスピードは半端ではなく速い。
前回、ファッション業界を3層に分類してご説明したが、一番下の層(あったか肌着などのキーワードに強い機能商品やニッチ市場をつかめる商品、ファクトリーブランド)は、検索エンジンの精度が上がり検索連動型広告が普及し始めた頃が参入のチャンスである。ネット通販での過去の歴史を思い出してみると良い。
もし余裕があるなら、出来れば楽天さんやヤフーショッピングさん、ポケットビッダーズ(auショッピングモール)さんで先に始めて感触をつかんでおく、というのが理想だと思う。早ければ早いほど、顧客も蓄積できるし、知名度も上げやすいので。
7.ゼイヴェルの憂鬱とビジネスチャンスー競わせたいが、プレイヤー(ブランド)が足りないー
今年の繊維ファッション関係の業界紙の正月号の紙面は、ゼイヴェルさんの話題で持ちきりだった。
同社が昨年ファッション業界では最も話題の企業さんだったからだと思うが、新聞によって取り上げ方や論調には微妙な差があった。
私が一番感心したのは、WWDジャパンさんに大浜社長が語っておられた「来年はコスメとメンズにも力を入れる」というコメント。これは、極めて正しい戦略だと思うからだ。
TGC(東京ガールスコレクション)やgirlsshoppingさんのポジションは、昨年で一応確立されたと私は見ているのだが、同社の飛躍のエンジンとなったTGCの次回(2007年3月3日)のショーは、一つの転回点になる可能性があると私は思っている。昨秋からの多くのモテ系ブランドの人気凋落、会場を横浜に移転せざるを得ないこと、初期の頃の同社の人気を支えてくれていた顧客が徐々に年を取ってきていること、中核となるモデル(エビちゃん、もえちゃん)も20代後半になり、次のスターがまだ育っていないということ等々。
TGCはCanCam色が強いイベントだったが、雑誌『CanCam』さん自身も自社独自のイベントを昨秋立ち上げている。エビちゃん、もえちゃんは、既にモデルというよりはタレント化し、TVへの露出が増えていることは同社にとってはプラスの面も大きいが、マス寄りになり過ぎる危険性も孕む。
実際のところ、顧客プロファイルを問わず売りやすい商品は、アパレルよりも価格帯の低いコスメなのである。『CanCam』の2月号に、美肌一族のシートマスクがgirlsshoppingのサイトで1日に6万4千枚売れたという話が紹介されていたが、ケータイ(モバイル)通販でまだ買ったことがないというお客様の抵抗感を取り除きやすい導入商品としては、コスメの方が適しているのである。
日本繊維新聞さんには、TGCがブランドを「競わせて成功」というような見出しが躍っていたが、実際のところ私は、ゼイヴェルさんはブランド集めにかなりご苦労なさっておられるのではないかと推察している。
それは、ファッション業界からのTGCの評価が低いからではない。それとはまるで逆で、多くの年配の業界人の経営者の皆様は、TGCのようなイベントが人気を博しているのは業界のためだと快哉を叫んでいることだろう。
問題は、恐らく、ゼイヴェルさんサイドからラブコールを送りたいと思うような、新しいイキの良いブランドの数があまりにも少なすぎる、ということの方にある。実のところ、「競わせたいが、プレイヤーが足りない」のだ。
モテ系も後退してきた今、頼みはマルキュー発のブランドばかり。関西系の新進ブランドさん達は神コレ(神戸コレクション)さん側についているだけに、東京勢中心に開拓しようと思うとどうしてもそうならざるを得ないのだろう。
業界の構造を見ただけで、このような結果になることは実は目に見えている。ファッション業界で起業しようとしている人達の数は非常に多いが、大多数がデザイナー兼経営者で、セレクトショップ向けのブランドを立ち上げており、企業体としてファッションビルや駅ビルの中に多店舗展開することを目指すものはほとんどいない。リアルクローズのビジネスは資金力と経験がないと展開できない事業なのである。
ゼイヴェルさんにとって僥倖だったのは、大手アパレル出身の優秀なMDとめぐり合うことが出来たということであろう。「ジョイアス」「アルバローザジャパン」「ジョリーブティック」のうち、特に前2者の商品企画のレベルの高さは特筆すべきものだ。これらのブランドが実店舗とモバイル、ネット店でファンを増やしていっている様子を見て、プレイヤーが全く持って不足しているアパレルビジネスにこそチャンスあり、と見抜いたのではないか。
更に今年2月、(株)フォーアンドコレー(「ジョイアス」を発売している会社)の子会社・フルーツバドさんの子会社から新ブランド「LITIRA」がデビューする模様だ。TGC参加ブランドのうち、ゼイヴェル系は全体24ブランドのうち4ブランドになった。次回3月のTGCの目玉は、私はこの「LITIRA」だと思って楽しみにしている。
8.動画配信と動画投稿の影響は?
「モバイルgyao」や「Qlick.TV」のような動画配信サイトの普及が話題となった2006年、有力なケータイ(モバイル)通販サイトでもちょくちょく動画配信が行われているのが見られた。
ファッションショーを配信しているgirlsshoppingさんのサイトや、auオークションさんのサイトでの、サイトの説明を動画で行っているものなど、皆さんもご覧になられたことがあるのではないかと思う。
PCでは、中小のネットショップさんも動画配信はかなり当たり前になってきている。ケータイでは今年はまだ恐らくそこまでは行かないと思うが、コンテンツ充実の一貫として、取り組みを始めるところが増えることに期待したい。
また、昨年はPCの世界では動画投稿サイト「YouTube」が大変な人気を博したが、ケータイの世界でもKLabさんという非常に技術力の高い企業さんが昨秋動画投稿も出来るSNS「
ケースペ」のβ版をリリースしている。
直ぐに通販と結びつくものではないかもしれないが、「mixi」の最近の様子を見ても、流行りすぎたものには必ず飽きが来る、何らかの反動が起きる、ということもあるので、「モバゲータウン」一辺倒ではなくこういった新しい動きにも目配りをしておきたいものだ。
9.ワンセグ、実質的なビジネス展開は2008年から
昨年4月1日にスタートしたワンセグ放送、私も既に1台のケータイはワンセグ対応のものを所有しているのだが、思いの外中高年の人気も高く、ユーザーへの普及は早そうである。
しかし、今のところまだ、地上派放送と同じ時間帯に同じ内容のものをサイマル放送することしか認められていないらしく、独自番組の制作が認められるのは2008年からであるらしい。
なので、通販との連動などが本格化するのは、2008年以降になると見た方が良いようだ。