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赤字転落したファッション系B2Bサイト・(株)ラクーン
今日6月9日(土)付けの繊研新聞さんに決算数字のみは掲載されていたので、RSSを活用しておられない方でもお気づきの方は多いと思うのだが、ファッション系B2Bサイトの・(株)ラクーンさんが、3年振りに再び赤字決算に転落してしまった。



詳しくは、(株)ラクーンさんの決算短信をご覧頂きたいのだが、さくらが気になっている点が何点かある。



1点目は、いわゆる売り手側のアパレルメーカー側の出店企業は順調に増えてきているのだが、買い手側の小売店さんが同社が目標とする数値に未達であること。



同社は、加盟小売店数を増やすよう努力すると述べているのだが、そもそも、今のアパレル業界の主流は、SPAになっており、個店型の小売店は減少傾向にある。それに対し、アパレルの数は多く、はっきり言って生産過多・供給過剰な状態だ。



なので、同社は暫くは仕入れ先に事欠くことはないと思われるが、旧来勢力の老舗の専門店に関しては、加盟店の獲得には限界があるのではないのだろうか?



第2点目は、B2Bのビジネスモデルは、品揃えを無数のB=アパレルメーカーに頼らざるを得ないが、自らリスクを張って開発輸入や海外からの仕入れを手掛けている一部の現金問屋さんのネット店の品揃えの本気度に、負けている部分があるのではないかということ。



現金問屋さん系のネット店の商品は、「顔」=見た目のデザインが良いため、お店側が原価に対して高めの値段設定をして売り切ることで利幅が取りやすい、という利点がある。特に、マルキュー系やお兄系の若いゾーンの品揃えが充実している、というのは、仕入れる側にとっては魅力的だ。



さくらが思うに、B2Bのマッチングサイトは、無数のBとBを仕組みでマッチングさせるところにあるので、BとBの双方が活性化していてネット上のプロモーションだけで会員が獲得でき市場が広がっていく、というのが理想のパターンだ。システム管理はしっかり行わなければいけないが、社内の人員は少数精鋭、「えっ、こんなに社員数少ないの!」というくらいになっている方が望ましい筈。



ところが、同社の社員数は、109名である。うち52名の方は正社員ではないようだが、ソリューションや広告モデルのビジネスを一切行っておらず、会費といわゆる「口銭」に頼る収益モデルでありながら、売上高人件費比率がB2Cのネット通販企業に比べて高すぎるのではないか?



でも、そうなっている理由は、わからないでもないんですよね。B2Cの場合、Cの方に対しては例えば雑誌への広告宣伝、といったことを行う必要はあるが、マンパワーを活用した営業は不要なのだから。ところが、B2Bの場合、アパレルメーカー側だけでなく、小売店さん側を対象にしたセミナーなどの開催も必要になってきて、両方のBに対して手間隙がかかってしまうのだ。



更に、同社は激安問屋の方で平成17年秋からオークションも取り入れている模様だが、C2Cほどではないにせよ、オークションはトラフィックを激増させサーバへの負荷を高める。その割には収益性は極めて低い業態だ。体力とエンジニアのレベルの高い企業でなければ、「やっても意味がない、やってはいけない」ビジネスではないかと私は思っている。



この辺は、本当は直接取材して伺ってみたいところなのだが、ほんと、もし「燃やすよりはマシ」と思って商品が投げ売りされていたとしたら、情けないという気すらする。



ここまで書いてきてふと思ったのだが、B2Bの、買い手の方のBに事欠くオンライン問屋さんの業態と対照的な世界がネット上に存在する。それは、ドロップシッピングの世界だ。続々と買い手側のドロップシッパーは集まっているのに、この業界では売り手がまだ集まらず困っている。



プロの商売人ではない、一般の人々。こここそが、人口が減少に向かう日本における最後の金脈なのだが、現時点でここに足を踏み入れれば、特にアパレルの世界では既存の取引先専門店やメーカーの反発を食らうことが予想されるため、恐らくは思い切った方向転換は不可能だろう。



もう1つの方法は、海外の小売店にも門戸を開く、ということである。わざわざ高い日本商品を誰が買うのか、という考え方もあるのかもしれないが、既に横山町にアジアのバイヤーが集まってきているのだから、ネット取引のポテンシャルは極めて高いのではないかと私は思うのだが。



(株)ラクーンさんはファッション系B2Bサイトだけでなく、ファッション業界におけるネットビジネス企業の老舗であり、草創期にコツコツと足で歩いて会員を集めていかれたお話とか、非常に真面目に堅実に経営を行っておられる由仄聞しており、個人的には頑張って欲しいな、と思っております。



ただ、赤字が企業の成長期における一時的な現象なのか、それとも、ビジネスモデルそのものに潜む利益が取りにくい構造的要因によるものなのかは、同社を信頼して同社の仕組みを活用しておられる業界の企業さんのために明らかにする必要があるのではないかとも思うのだ。



月曜日付けの業界紙各紙さんや、通販系のメディアさんには決算に関する報道がいずれ掲載されるだろうが、専業ジャーナリストの皆さんには是非共しっかりとこの辺を取材して頂きたいものです。
 2007/06/09 23:57  この記事のURL  /  コメント(2)  / トラックバック(0)

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プロフィール

岡山大学法学部卒、(財)ファッション産業人材育成機構・IFIビジネススクールマスターコース中退。高級婦人服専門店の百貨店インショップの販売員、日本繊維新聞中国支局(岡山)記者を経て、現在は東京・両国にあるファッション関連企業の支援機関の職員として、地元を飛び回る日々を過ごしております。
趣味:読書、ネット&ケータイサーフィン、婦人服のショップを見て回ること、美術館巡り、ヨガetc.,

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