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ネット通販をやっておられる方にとっては、「何を今更」という話だろうが、笹本克著『売るためのサイト構築テクニック』(アスキー刊、定価1,600円+税)は非常に良い本だ。2004年12月に出版されているのだが、今読んでもその大多数の部分は大いに役に立つ。
同書には、いろいろためになることが書かれているが、一番キモになる部分は、「ネット通販においては、むやみやたらに集客数を増やせば良いというものではなく、CVR=コンバージョンレート(購買率)を高めることを目的としなければならない」ということをはっきりと指摘している点にある。いわゆる、SEO対策とか、PPC広告(検索連動型広告)というのは、そのために行われるものなのだ。これは、リアルの店舗販売とは違う、ネットの最大の特徴の1つである。
詳しくは、同書を是非買ってお読み頂きたいが、昨日私の個人ブログ「両国さくらのファッション・イン・ファッション(Fashion in Fashion)」に書いた通り、これから後々発でネット通販に参入したとしても、高いCRV(購買率)をマークできるブランド、企業さんならばネット通販の勝ち組になり得るのだ。
ワールドさんとか、LVJ(ルイ・ヴィトン・ジャパン)さんは、人気ブランドを沢山有している。ルイ・ヴィトンさんの場合は、バッグなどの雑貨の場合、ブランドそのものだけでなく、特定品番への指名買いも多いという強みを持つ。ということは、楽天市場さんやYahoo!ショッピングさん、ファッション系の通販モールに出店するまでもなく、直接検索エンジンに社名やブランド名、場合によっては品番名までを入力して来訪してくれて即買い物カゴへGo!、というのが、相当数見込めるのである。笹本氏の本に書いてある、訪問数に対する購買率の最低合格ライン、0.7%なんて数字は、特にアパレル系の有名ブランドの場合は恐らく目じゃない、軽々とオーバーしてしまうという気がするんですね。
仮に、新規のお客様を開拓できなかったとしても、リアルで買い損ねた、というお客様を拾うだけでも効果は大きい。リアル店に置くには売場面積が足りない大きいサイズ、小さいサイズなどもネット店で扱うということも考えられるだろう。既にお客様、自社ブランドのファンの塊を持っている、ということは、全くのゼロベースからのスタートよりも非常に強いのである。
無名の地方企業さんなどがファッションのブランドをネット上でデビューさせようと思った場合、上代5,000円以上のものは売りにくい、といった現象もあるだろうが、リアルの人気ブランドならば高い上代でも売れる。店舗を構えた場合の利益率とネットのそれを比較してみて欲しい。いかにネット販売というのが魅力ある販売手法か、容易に想像できるはずだ。
しかし、「うちは大手アパレルだから、きっと売れるだろう」と思って参入を目論んでおられる企業さんは他にもあるだろうが、そんなに簡単ではないと私は思いますね。「昔人気企業、今ナントカ」という老舗企業には、非常に厳しい結果が待ち受けている筈だ。自社サイトを立ち上げたとしても、何の対策も施さなければそもそもユニークユーザー数(訪問数)が思ったほど上がらないだろうし、CVR(購買率)も低い、ということになるのではなかろうか。
今日、今更ながらにこの本のことを私が取り上げたのは、実は、この本に書いてある別のことをリアル中心の商売をやってきた皆様にわかって頂きたいな、と思ったからだ。
それは、ネット販売というのは、集客が見込めるキーワード(テキスト)中心に売り場作りを行うべきだという点においては、リアルの商売と非常に大きな違いがあるけれども、多くのノウハウは、リアルと共通するものである、ということである。このことについては、笹本氏自身が、「リアルから学ぶべきだ」と何度も本の中で強調なさっておられるけれども、私は逆に、リアルで商売をやっておられる皆さんも、ネット販売で成功しておられる皆さんから学び直すべきではないかと思っている。
特に、「自店のお客様がどんな人なのかを明確に想定する」ということと、「そのお客様に合った商品と売り場環境、サービスを容易できるか(中でも特に商品を!)」ということ、これがうまく出来ていないと、リアル以上に、ネットでは全くお客様に見向きもされない(それ以前に、ネットショップが存在すること自体が検索エンジンの上位に認知されず世の中に知られない)ということは、リアル以上に論理的に明快な厳しい競争条件に晒されている世界で鍛えられているだけに、ネット通販の勝ち組企業さんは非常に優れた手法をわずかここ数年の間に習得済だ。
そこに、リアルでのMDのスタンスが中途半端な企業さんが何の準備もなく参入したところで、ほとんど勝ち目はない、と思った方が良いでしょう。まだ、楽天さんにでも出て、楽天さん独自の販促に相乗りする、例えば、メールマガジンに広告を載せるとか、タイムセールやギャザリング、楽天アフィリエイトのノウハウ等を生かして価格勝負で数を売ることを狙った方がはるかに容易かもしれない。
『売るためのサイト構築テクニック』の末尾に、著者の笹本氏は、「黎明期を終えたこれからのネットショップは本質勝負の時代になる」と書いておられた。1、2年前から、同氏に限らずB2B、B2Cの専門家は同様のことを皆さん指摘しておられたが、言い換えると、「リアルとネットが接近してくる」時代だと思う。ネットの成功者がリアルでも出店、といった事例もポツポツ見られるし、その逆も然り。但し、ファッション業界においてそこまで高いブランド力を有する、しかも、今一時的なブームではなく、中長期的なスパンでのブランド力をキープできると思われる企業さんの数は、実は、そんなには多くない、というのが現実の姿なのである。 |




