5月2日付けの日経MJ(日経流通新聞)さんの1面特集「岐路、返品保証ー悪意の手口横行ー」を読んで、いろいろと考えさせられてしまった。
さくらが地方百貨店インショップの高級婦人服専門店でショップスタッフをしていた二昔前、バブル期終盤の時代にも、既に返品にまつわる対策をどのように講じるか、というような話はたまにあった。非常によくお買い物をして下さるお客様なのだが、時折気が変わられることがあって、翌日商品を持ち込まれるケース、これまた上顧客なのだが、非常に拘りの多いお客様で、お直しの仕上がり具合が気に入らない、と言われるケース、等々…。
前者の場合は、値札もちゃんと付けた状態で翌日の持ち込みなので、上顧客でもあるから快く受け取る、後者の場合は、お直しを受ける段階でそのお客様のニーズが十二分に汲み取れるだけの技量を持つスタッフのみが接客し、他のスタッフはお直しは受けない、というような形で対応していたことを記憶している。
小さな店舗、それもリアル店舗だと顔の見えるお客様とのお付き合いなのだから、臨機応変な対応、といったことが可能になるが、大型店やネット通販、TV通販の場合はそういう訳にいかない。日経MJさんに書いてあるような「悪意の消費者の数が感覚的に増えてきたような気がする」とことだと、大変なことである。
記事にあるように、確かにネットの存在、というのが、昔と違って良い意味でのクチコミも、悪い意味でのクチコミも増幅させる、ということはあるように思う。
それと、昔の日本には、ルールや契約をきちんと定めなくても、周りの目を気にしたり、相手の立場を思いやる、というような文化があったように思う。ところが、それがだんだんと崩れてきて、ちょっとアメリカ型の社会に近づいてきたのかもしれない。
ただ、矛盾しているなぁ、と思うのは、返品保証制度を明示している以上、消費者に利用してほしいから、という風に思うのが本来は自然なことなのではないだろうか?制度の存在が知られてくれば利用率が上がるのはある面で当たり前で、そうなると困るのであれば、特にリアル店舗さんの場合は始めからやらなければよいのに、と思うのは、私だけであろうか?
さて、このブログはネットの話題を中心に取り上げておりますので、ここからが本論。
日経MJさんの記事の中に、ニッセンさんの話題が出てきて、同社が商品到着後14日間は無料で返品を受け付ける旨紹介してあり、そのくだりの最後の方に「…返品対応に伴う負担は小さくない。それでも商品を手にとって吟味できない通信販売では必須のサービスだ」(同紙より引用)とあるんですが・・・。
いわゆる、「特定商取引に関する法律」で訪問販売に関して定めてある「クーリング・オフ」の制度は、通信販売に関しては義務付けはありません。皆様ご存知でしょうが、念のため。
同業他社さんはどうなっているかというと、ベルメゾンネット(千趣会)さんは14日以内、ムトウさんは10日以内は返品可能になっております。これは、もともとカタログ通販出身で、商品の販売サイクルが長いことと、物流体制がしっかりしておられる、という強みがあるから実施できるサービスだろうという気がしますね。
楽天さんなどのショッピングモールは、出店各社の姿勢に委ねる形、いわゆる感度の高い商品や知名度の高いブランドを集めている大半のブランド集積型ネットショップの場合は、大半が、商品が不良品だったり配送間違いの場合以外の返品は一切受け付けていない。
TV通販の場合が面白くて、ジュピターショップチャンネルさんもQVCジャパンさんも、30日間は返品可能、なのだ。これについては、3年くらい前から既に、「消費者がTV通販自体に慣れてきたのか、返品率が上がってきた」というような声をぽつぽつ聞くようになっている。
TV通販の場合は、在庫リスクをメーカーさん側が持つから、これだけ長期間に亘って返品が受けられる、ということもあると思うんですよね。消費者にとって一見良いように見える仕組みの裏側には、そういう問題もあるのだ。
私見だが、小さな企業さんの場合は、ネット通販において安易に返品を受け入れるのは非常に危険なのではないかという気がする。
日経MJさんに掲載されていた、日本ランズエンドさんの「
楽替」サービスとか、今、マルイヴォイさんがやっておられる、スーツ・セットアップやパンツ
のご試着セールのように、ネット通販におけるサイズへの不安、という弱みを逆手にとって、自社の強みに変えていくという明確な戦略性がないと、成功はおぼつかないのでは?
これらのサービスは、はっきり言ってフルフィルメントがしっかりしている企業さんでないと不可能、容易に真似出来ないことだからこそ、価値があるんですよね。