28日夕方、「グリーン」の吉原秀明へインタビュー取材を行った。
この日、東京・恵比寿にある直営店がクローズし、ブランドは休止状態となる。パートナーの大出由紀子が育児に専念するため、今回の決定に。引退する訳ではないが、再度活動する時期は未定。
東京コレクションでの発表を軸に、取り引き先は約60店舗まで拡大、海外にも売り先はあった。
吉原は「相当悩んだ。スタッフに相談し、ありとあらゆる可能性を模索した。しかし、自分1人で続ける選択肢はなかった。大出がいないと、『グリーン』は全く別のブランドになってしまう」。そして、スタッフは辞めなければならない。そして再度活動するにしても、トレンドサイクルが異様に速くなった現在、簡単に第一線へ戻れる保証もない。
そして「充実した生活をしないと、商品にも反映されてしまう。つまり苦しいクリエーション活動は、その商品にも表れてしまう」とも。
「グリーン」には、大きなバッカーがいない。
デザイナー2人が、経営とクリエーションの両面をみている。
毎日、毎日、細かい迷いと決断の繰り返しが続く。
多くのデザイナーは犠牲を払ってクリエーションをしている。
プライベートであれ、ビジネスであれ。
それによって、精神的なバランスを崩してしまう人物もいる。
過酷な毎日の中で、出産・育児という人生最良の時期を迎えた2人。
過酷な仕事という意味では、もちろん他業種も一緒だと思う。
なにもファッションだけが特別という訳ではない。
しかし、温和な表情になった吉原の顔を見ると、この決断が正しかったように思える。
最後に「子育てをすることで、2人の世界観が変わるかもしれない。人としても成長したい」。
取材中は、ずっと雨が降っていた。
(市)