
「私はリーバイスに商標権侵害で訴えられた初めての日本人なんですよ」
と、こともなげに話すのは日本のジーンズの黎明期を知るTさん。
昭和30年代、国産のジーンズブランドはまだ無かった。そもそもジーンズ自体が珍しい時代だった。
縫製業を営んでいたTさんは一部で評判だったアメリカ製の「リーバイス501」を参考に、オリジナルのジーンズを作った。
基本的なパターンやファイブポケット、リベットなどを研究したまでは良かったが、バックポケットの弓形ステッチまでも器用に再現してしまったのだ。
ある日、突然やってきた警官に署に連行されたと振り返るTさん。
「リーバイスの模倣品を作ろうなんて気はさらさらなかった。ポケットが5つあるのと同じように、ジーンズにはああいうステッチがあるものだと思っていたのです」
今からみれば、のどかな時代だったのだ。
Tさんはその後、日本のジーンズのパイオニアとして業界に礎を築く。
時は流れて40年、日本はジーンズに関しては技術的にも流行的にも世界をリードするようなった。
コメントする