
夜7時半。
国際展示場駅の外にでると、若い男から「これに乗ってください」と声をかけられた。
いわれるがまま乗り込んだマイクロバスには、20人ほどの男女で席が埋まっていた。私が補助席に座るのを確認すると、バスは走り出した。黒い窓ガラスからは外が見えない。乗客たちは無言。暗い車中、小雨の中ですれ違う対向車の音だけが聞こえる。
10分ほど走ると、バスが止まった。ドアが開く。暗いバスの中から外に出る。
「ま、まぶしい」
思わず手をかざした。暗闇の向こうから強烈なライトがこちらを照らしている。
若い男が言った。
「光に向かって進んでください」
乗客たちは吸い込まれるように光の方向に歩き出した。
私の脳裏にスピルバーグの『未知との遭遇』のシンセサイザー音が聞こえてきた。幻聴だろうか。
しばらく呆然としていたが、ひとり残されるのが怖くなり、先を歩く人たちの長い影を追って歩き出した。
光の先で私たちを待ち受けていたのは……
「ディーゼル」の07年秋冬ファッションショーでした。
24日夜、国際展示場駅からピストン輸送のマイクロバスで到着したのは、ショー会場の東京ビッグサイト。そこは黒い幕で覆われ、しかも照明も落としており、暗闇を演出しているのでした。暗闇というのは、ちょっと怖いけど、人をわくわくさせますよね。ディーゼルのショーは毎回、ショーはもちろん、会場とか、会場に行き着くまでの演出が洒落ているんですよ。家に戻るまでが遠足、みたいな感じです(違うか)。
「未知との遭遇」のシンセサイザー音で幕をあけたショーのテーマは
「近未来のニューヨークに住む新しい部族」。それにちなんでか、黒い羽根を頭につけるインディアン風の装飾も。
コレクションは黒やグレーを基調に、夜の街のネオンサインを思わせるようなパープルを効果的に使っていたのが印象的でした。(H)
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