先月29日、アクリスジャパンの井野智恵子社長にインタビューを行った。
スイス発のプレタポルテ「アクリス」は、客単価が30万円前後というラグジュアリーなウェア。過度なデザイン性よりも、長い期間着用できるクオリティーを重視するブランドだ。簡単に言えば、品格と高品質を両立させたクリエーション。
人前でプレゼンをする女性や会合、パーティが多いミセス層から多くの支持を集めている。具体的には、政治家や弁護士、女医など“信用”を求められる女性たちだ。
驚くのは、リピート率が高いということ。
固定客は全体売り上げの70%を占め、多数がリピーターとなっている。
ただ不況に強い一方で、消費者の流動性は欠ける。
そこで「資格制度としてフィッティング・コンシェルジェ(FC)を導入しました。社員のモチベーション向上やスキルアップという点で成果が出ています」。
そのFCが手掛ける形で、「リスタイリング・フェア」「クリーニング・フェア」を実施。
アクリスの商品を過去に購入し、体型変化でサイズが合わなくなった洋服を直すサービスや、クリーニングに関するアドバイスを行い、1人につき1着、無料でクリーニングを実施したという。
今さら「お直し」や「クリーニング」・・・と、懐疑的になる人も多いと思うが、流動性という意味で効果があった。従来の顧客に加え、噂を聞きつけた新規ユーザーも来店している。さらに信頼関係から「また買おう」というマインド変化も見られた。
信用や信頼って大事。
消費者とブランドは、信頼関係で成り立っている部分が大きい。
小手先の値下げやエントリープライスの導入は、短期的な効果が期待できる。
しかし長期的には、ブランドの信頼低下、劣化につながる。
アクリスの事例は信頼関係を築く上で、1つのヒントになりそうだ。
(市)