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秋トレンドときちんと系アイテム復活

 毎月末に近付くとMDコーディネーターが各タイプ別の最新注目/主流ルックを70体以上の繊細なカラーイラストで報告して来ます(SPACレポートにMD展開の解説付きで掲載されます)。この7月末も秋立ち上げの様々なルックが報告されましたが、ボヘミアン〜フォークロアと流れるフェミニン系レイヤードにはさすがに飽きが来て、ボーイッシュ〜マスキュリンを軸にブリット/ロック/80'Sパンキッシュと様々にリミックスする流れの方がうんと新鮮に感じます。中でも目立つのが様々な丈のベスト/ジレとタータンチェックアイテムで、8月末の売れ筋になるのは確実。ボトムではクロップドからサルエルまで様々な中途半端丈パンツとミニプリーツスカートが主力になりそう。一番割を食うのは2周回って飽きの来たワンピースでしょう。とは言ってもゴシック×ロマンティック×バンキッシュの‘ゴスロリ’は秋へ向けて一部で盛り上がるかもで、フリル/ティアード満載のブラウス/スカートに加えてワンピースも可愛い。
 そんなカジュアルトレンドの一方でOL〜キャリアの通勤服も再評価されており、フリルデザインのブラウスやカットトップス、テーラードジャケット、ハイウエストのタイトスカートなどが既に動きだしています。レイヤードトレンドに流されて月々の通勤ワードローブを崩してしまった春夏の反省から、ブランド側もお客様もきちんと系アイテムを再構築しようとしているのでしょう。景気が冷え込んで各客層がそれぞれに等身大な生活スタイルを模索する中、OL〜キャリアできちんと系アイテムが復活するのは当然の帰結だと思います。

 2008/07/31 11:37  この記事のURL  /  コメント(0)

斜陽の美学

 先週の木金と月例の『販売情報交換会』を開催しましたが、今年は一部タイプ/ブランドを除き秋物の立ち上げが大幅に遅れており、例年なら7月末の会で秋物の売れ筋報告が上がり始めるところがまったく上がらず、現実の厳しさに一同、シュンとしてしまいました。夏物在庫を大量に抱えて在庫枠がパンパンなのに加え、今必要な物しか売れない御時世では晩夏プロパーに在庫を割くしかなく、本格的な秋物投入は8月に入ってからというブランドが大半の様です。
 6月の販売成績は『6月の惨劇』で私が予測した通りになり、業界平均で既存店前比は85%前後まで落ち込んでしまいました。その分、7月は昨年の反動で二桁増になるはずなのですが、24日段階では都内百貨店は一桁半ばぐらいが多く、中には前年カツカツの店も。メンズは景気後退に直撃されてレディス以上に夏物在庫が積み上がっており、秋物立ち上げはまだディスプレイ程度。当然、売れ筋報告は新味のない夏物/晩夏物ばかりで、金曜のメンズ会はお通夜のようでした。もはや業界の活路は中国大陸しか無いという切羽詰まった情況で、大手流通業の幹部は中国転勤の悪夢が頭を掠めるとか。
 アパログを見ると上海や広州で活躍してる方もいらっしゃるようですが、私はあんなイモラルでルールの怪しい国とは関わりたくない。北京オリンピックも勝手にやったらいい。滅び行く美しい日本と静かに沈んで行く方が私の美意識に適っている。斜陽の美学とでも言うのでしょうか。そんな週末は川本三郎の『荷風と東京』を読み返してしまいます。洋行帰りなのに江戸の昔を慈しんでモダンな東京を疎んじ、山の手人種なのに下町の鄙港に遊んだランティエの情念に共感するものがあります。
 そう言えば一月ほど前の新聞に川本さんの愛妻、恵子さん(服飾評論家)が亡くなったという記事が出ていました。7つ年下の恵子さんを川本さんはきっと溺愛していたのでしょう。氏の悲しみは想像に余り在るものがあります。同じくらい歳の離れた我が家のルンルン妻がいつまでも元気であります様、つい祈ってしまいました。
 
 2008/07/28 10:15  この記事のURL  /  コメント(0)

必然の成功に注力せよ

 ファッションビジネスの消長を見ていると『企業は偶然に因って成功し必然に因って自滅する』というジンクスを実感します。新たなブランドが当たるかどうかは大なり小なりギャンブルと言わざるを得ませんし(実際、大手企業による新ブランドでも離陸率は2〜3割に留まっている)、大枚賭けたメディア露出の仕掛けも人気沸騰に繋がるとは限りません。商品企画やブランディングは時流に左右される水物という性格が強く、成功するか否かは結果論というのが実態でしょう。しかし、MD展開やその売場表現たるVMD、配分・店間移動・再編集といったロジスティクスはテクノロジーとプロセスマネジメントの世界ですから、最新の技術で緻密に組めば確実な成果が期待出来ます。
 ところが、大部分のファッションビジネスはこれらマーチャンダイジングからロジスティクスまで一貫するプロセスが未整備で、個々の技術も自社の経験則に頼っているのが実態です。情況に流されて右往左往するうちに深夜まで業務が及ぶという姿が一般的でしょう。これでは当たる商品企画も活かし切れないのではないでしょうか。きちんとプロセスを整備すれば残業は無くなり、チャンスにも即応出来るはずです。
 当社は企画会社ではありませんからギャンブルな商品企画は提供していませんが、マーチャンダイジングからロジスティクスに至るプロセス設計とその実行に必要な最新技術を、個々の企業に最適にアレンジして提供しています。VMDもマーチャンダイジングからロジスティクスを一貫する在庫運用・陳列表現技術として位置付け、ブランディングに繋がる洗練された技術体系を確立しています。オリジナルなソースに基づいてテクニカルなMD展開計画を組むというマーチャンダイジング業務(商品企画ではありません)も卓越した水準と自負しています。偶然の成功ではなく必然の成功をもたらす事が当社の使命なのです。
 かつてないほどの逆風に業界が晒される中、偶然の成功に頼るリスクはあまりに大きく、必然の成功に注力すべき時と思われます。
 
 2008/07/24 14:18  この記事のURL  /  コメント(0)

当社はビジネススクール

 募集していたレディス担当MDコーディネーターがようやく決まり、肩の荷がひとつ降りました。109系ブランドでデザイナーをしていた美大出のお嬢さんで、当社の希望にピッタリの方です。残るはメンズ担当ですが、どなたか適切な方がいらっしゃいませんか(男女不問、詳細はこちら)。商品企画やバイヤーの経験があって“アバクロ”の味が解るカジュアル大好きな方が来てくれると嬉しいのですが。
 一連の募集で何人かのデザイナーを面接しましたが、お勉強のチャンスを与えられていない人が多いのは意外でした。僕らの若い頃はデザイナーもバイヤーも毎シーズン、パリ/ロンドン/ミラノやNYを視察するのが当たり前でしたが、何年も勤めて一度も無いとか一度だけとかいう人ばかりで、ちょっとビックリ。コレクション報告セミナーも毎回は行かせてもらえないと聞いて、もっとビックリ。インプットしないでアウトプットばかり求める企業側の姿勢には疑問を感じました。
 せっかく専門教育を受けた人達がきちんとした研修や視野を広げる機会を与えられず、一番伸ばせる若い時を浪費してしまうのは可哀想と言うしかありません。技術を体系的に教え視野を広げる機会を与えれば、意欲のある若い人はしっかりとステップを登って行くものです。2〜3年も磨けば蝶に化ける人も出てくるでしょう。それが楽しみでMDコーディネーターを育成しているのかも知れません。
 当社で東京ローカルからパリ/ロンドン/ミラノ/NYまでマーケットとブランドを見る目を養い、スタイリングとMDを組み立てる技法を毎シーズン積み上げて行けば、MD/バイヤーはもちろんディレクターにも化けられます。感性の画素数も桁違いに高密度になるでしょう。当社は真っ当な給与を支払ってMDのプロを育てる希少なビジネススクールなのかも。
 2008/07/22 09:51  この記事のURL  /  コメント(0)

『09SS版MDディレクション』が完成します

 『09SS版MDディレクション』の製作作業もようやく峠を越え、レディスは全12テーマの素材ボードも完成してヘッドラインも固まり、今週中にはフィニッシュ出来そう。メンズも全6テーマの素材ボードが完成してヘッドラインを残すのみですから、数日の遅れでフィニッシュ出来るでしょう。レディスは25日からメンズは30日から契約企業へのディレクションが始まります。
 当社のディレクションは「ブランド別販売動向と客層別スタイリング動向をクロスしてマーケット変化を掌握し、客層別のライフスタイル/スタイリング志向に受け入れられるトレンドをリミックスしてMDテーマを設定する」という手法を採っていますから、コレクション世界のトレンドより国内市場動向を強く反映する等身大な性格と言えるでしょう。今シーズンを総括して来シーズンを予測する為、SS版は7月末、AW版は12月末から提供しています。コレクション総括型のディレクションとは製作方法も提供時期も異なり、国内市場の客層別動向を正確に反映する事を重視しています。
 各MDテーマもコアスタイリングから展開する着回し巾を設定した上でアイテムの展開手法(ディティール/カラー/素材・柄/加工など)と素材構成、カラーリングをビジュアルに表現するもので、MD企画実務に落とし易く構成しています。
 導入を検討される企業は来社してディレクションブックの説明を受けるか、8月7日開催の『09SSのMD戦略ゼミ』(詳細はこちら)にお申し込み下さい。
 2008/07/16 16:53  この記事のURL  /  コメント(0)

ローカルとグローバルの選択

 07年前半までの景気回復局面とSC開発ラッシュの波に乗って拡大して来た企業が悉く壁に当たり、売上と収益が急激に悪化しています。店舗オペレーションやロジスティクスの仕組みを確立しないまま拡張して来たツケが一気に吹き出し、対策に右往左往する内に消耗して動きが取れなくなっていくという、“死に至る病”の死臭が業界に色濃く拡がっています。もとより苦戦していた企業は損益ラインを割り込んで赤字が膨張し存続を問われる情況に陥り、セレブだリッチだと派手なプロモーションを仕掛けていた新興企業も売上不振に色を失っています。企業の清算や破綻が急増し、その連鎖で行き詰まる企業も続出しています。かつてない氷河期の到来に戦線を縮小して生き残らんとするリストラがまた周辺を萎縮させ、縮小均衡のスパイラルがどんどん加速しています。もはや一切の光明が消え果てた暗黒の中を手探りで這いずっている情況で、いったい業界はどうなってしまうのでしょうか。
 そんな阿鼻叫喚の世界にも、まだ元気な企業は存在します。それは癖のある商品でマイナー市場を上手く捉えているローカルビジネス、突出したバリューのポピュラーな商品でメジャー市場を制圧しているグローバルビジネス、という両極のビジネスに他なりません。中間に犇めく癖のない商品(OEM調達の弊害ですが)を重なった大衆市場に供給するナショナルビジネスは同質化と過剰な店舗間の食い合いで悉く行き詰まりつつあります。
 ローカルビジネスで走れるのは1業態で3ダース(36店舗)まで、グローバルビジネスへと抜け出るのは10ダース(120店舗)以上、というのが多くのビジネスを見て来た私の経験則で、苦境に在る企業の多くはローカルの壁を超えてしまった企業とグローバルの壁を超えられない企業のどちらかのようです。あえてローカルビジネスに留めて多業態化するのもひとつの見識ですし、国内業界は末期的情況に在ってもBRIC'sのファッション市場は急成長していますから、グローバルの壁を超えて海外に活路を求めるのも当然の選択と言えましょう。もはやチャンスはローカルとグローバルにしか在りません。貴社は何処へ行くのでしょうか。
 2008/07/14 11:19  この記事のURL  /  コメント(0)

夏の終わりとともに消えて行くブランド
 予想された事とは言え、不振ブランド/業態の撤収が拡がっています。まだ公表されていないものも含め、この夏の終わりとともに消えて行くブランド/業態は10や20では済みません。事業部や会社ごと無くなる話もチラホラ聞こえてきます。社内の他事業に移籍出来る営業系はいいけど、新規プロジェクトがほとんど皆無という情況ですから、企画系の人材は難民化する人が増えているようです。そんな中からいい人材が当社のMDコーディネーターに応募してくれれば良いのですが、物づくりに固執する人が多いのか未だ欠員状態。いい人いたら是非、応募を勧めて下さい(こちらをクリック)。
 不振ブランド/業態の撤収は百貨店やSCを直撃し、この夏の終わりには穴埋め催事売場やシャッター店舗が急増しそう。もとから販売不振のSCなんかシャッター街になりそうで、SCデベロッパーの破綻も懸念されます。それがまたテナント企業の経営を圧迫し、撤収を加速するのでしょうか。業界は真っ青真っ暗。悲劇の連鎖はどこまで拡がるのでしょうか。
 2008/07/10 09:52  この記事のURL  /  コメント(0)

時代の気分にピッタリ
 先週は関西某タウンセンターのリモデル構成企画を仕上げる一方、ネットベンチャーのトップと会談したり郊外SC向け新業態のプロトタイプを監修したり、『09SS版MDディレクション』を詰めて行くうちに週末となってしまいました。中には気の重い仕事もあって、「自滅する企業」を生で演ずる企業の破滅の歯車をなんとか逆転させようと四苦八苦しています。
 旧帝国憲法でも立憲君主制で天皇さえ憲法によって権力を規制されていたのに、経営者が組織運営の憲法さえ定めず「私が法律だ」式に思うがままに指揮発動して組織の責務遂行を混乱させ、自滅して行く姿は狂気にしか見えません。‘現実否認’‘傲慢・慢心’‘組織無視’の果ては悲劇の結末が待っているのに、確固たる意志によって自滅して行く狂気を止める方法はまったく見当たらないのです。どなたか『自殺する企業』を救う妙案を教えてくれませんか!!。
 週末毎の雨と都内の野暮用にガソリン高騰も加わって、愛車のオドメーターは購入から2ヶ月たっても1400kmちょっとに留まっています。急発進急制動回避はもちろんアクセルに生卵を挟む神経で決して4000回転以上は回さないように運転しても、総重量2トンに近い4WD車の燃費は都内では5km/Lにも届きません。一回の給油で万札が飛ぶ感覚は堪え難く、週末の近場はもっぱらもう1台の愛車“SCOTT”(バブル期に買った総アルミフレームのモトバイシクル/89年ツールドフランスの覇車)で済ませています。自転車とは言っても大型スクーター並みのお値段でしたから、必ず有料駐輪場に停めてロックしています。
 今年の夏は洋服を買う気分には遠くバーゲンも無視し、週末気分を楽しむハワイ製のアロハやショートパンツを買っただけ。カトラリーなどのテーブルウェアやペルシャ絨毯には糸目を付けませんが、モードだラグジュアリーだとファッショニストを気取るKYにはなりたくない。伊勢丹メンズ館なんかで粧して歩いている親爺や六本木ヒルズあたりでケバく風切ってるヤンエグなんか、KYそのもので目も当てられません。
 車から自転車、インテリアからテーブルウェアまで高質アイテムに囲まれてせこく暮らす日々は、なんだかしみったれて時代の気分にピッタリ。おいおい、それでホントにいいのかよ!!
 2008/07/07 10:23  この記事のURL  /  コメント(0)

注目新ショップは皆、小粒

 百貨店向けブランドに続いて郊外SC向け業態開発も一斉に停止し、目を惹く新ショップは駅ビル/ファッションビル向けに限られて来ました。割高感から加速度的に顧客が離反している百貨店や乱開発とガソリン高騰で急激に商圏が縮小している郊外SCに、いまさら新規投資しようという物好きは限られるのは当然で、むしろブランド/業態の整理・廃止が加速しています。何時の間にかなくなるブランドや業態が続出しており、ラインナップが縮小して売場が埋まらなくなってしまいそう。
 駅ビル/ファッションビルとて時代の気分をリードして盛り上がっているのは109やルミネエストなどほんのひと握りで、時代ずれたパルコ系はひっそりと化石化し、浮ついた企画で開発された新規のファッションビルはほとんど大空振りで閑古鳥が鳴いています。今、一番元気なのは間違いなくルミネエストで、B2Fのロンドンアンティーク系コスメの“B”、同アッシュペーのカルチャーミックスセレクト“ゼロナナトリッキー&トラスティー”、B1のモードミックスカジュアル“リミットレス・ラグジュアリー”(なんとベイクルーズ系なのです)、1FのLAライフスタイルカジュアル“ザ・クローゼット”(ララプラン)、3FのOL向け4プライスシューズ“オリエンタル・トラフィック”なんかが注目されます。109は元気とは言え目を惹く新ショップは皆無で、“ギルフィー”“リダーク”(ギルフィー系)の躍進とララプラン系の絶好調継続、“ココルル”などコーストカジュアル系の驚異的復活が特筆されるのみ。
 駅ビル/ファッションビル系の新ショップは皆小粒で、離陸しても1ダースから精々3ダース程度までしか拡張出来そうもないものばかり。百店超に化けそうなパワーコンセプトはまったく見当たらないのが残念です。強いて挙げるなら“オリエンタル・トラフィック”ぐらいでしょうか。ファッション業界は服飾雑貨を含め、明るい未来が見えません。
 2008/07/03 10:55  この記事のURL  /  コメント(0)

プロフィール

小島健輔(こじま けんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。

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