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業界は死んだふり
 3月のSPAC月例研究会まで必死に走って来ましたが、4月になってふと気が付けば周囲がフリーズしていました。3月商戦では一息ついたものの販売情況は逼迫しており、百貨店や大手アパレルは目前の課題に張り付いて先を見る情況ではないようです。石を投げ込んでも反応は鈍く、業界はほぼ死んだふり状態になっています。そんな中でも109世界だけは元気で、新ブランドのプロジェクトが続々と進行中です。その中核となっているのは皆カリスマ販売員で、デザイナー軸の話は国策のコレクション祭りしか耳に入って来ません。
 デザイナーブランドは気負った発信にこだわって市場と乖離しがちで、手の込んだデザイン性も着回しの邪魔になり、レイヤードが当たり前になった今日の若い消費者には煙たがられている嫌いがあります(レイヤードを売物にしている人気デザイナーブランドもあるが、実はMD企画の比率が高い)。多くのデザイナーブランドは80年代の顧客とともに歳を重ね、ミセス特化の性格が強めているのが実情でしょう。市場のレイヤード感を取り込んで新たなファン層を形成しつつある若手や二世のデザイナーもチラホラ見られますが、素人企画の奔流下ではマイナーを出るものではありません。そんなわけで東コレも見る気になれず、何時の間にか終わってしまったようです。
 世で注目されるカリスマ販売員達は突出して高感度でかっこいいという訳でもなく、むしろ顧客が共感し易い等身大な感性や親しみ易いキャラがうけているのでしょう。商談の場で「あの娘が○○ちゃんだよ」などと教えられても、そんなに目を惹く容姿でもないけれど、売場に立つとファンが何百人も押し掛けるそうです。彼女達が企画した商品を見ても旬の売れ筋にちょい独自のフィット感とか緩み感とかを加えただけで(それが売れる要因なのです)、クリエイティブな主張は皆無と言ってよいでしょう。だからこそ共感や好感を得られるのです。
 世界でも突出して高感度に進化した日本の若い人たちに、高い所から下げ渡すように発信するデザイナーブランドが受け入れられるはずもなく、顧客代表の素人が等身大にコミュニケートするカジュアルブランドが主流となったのは当然の帰結と言うしかありません。未だデザイナー軸のブランディングを志向する企業も無い訳では在りませんが、時代錯誤の感は否めません。もはや80年代は四半世紀も過去の時代となったのですから。
 2008/04/07 10:08  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール

小島健輔(こじま けんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。

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