先週も忙しかった

 11月29日に今年最後のSPAC研究会を終え、ほっとしています。ほぼ2ヶ月かけてターミナルSCから郊外SCまで注目ブランド/業態を総調査して一覧表とマップを作り、スライドを添えてメンバーに解説。ブランド/業態開発の成功条件をまとめて総括としました。160名を超えるメンバーが出席し、御好評を頂きました。
 先週も幾つかVMDクリニックがあり、木曜夜には銀座○○百貨店の某ブランドをウールコート/ニットを軸にホワイト×ゴールドで全面再編しました。週末の三日間でどれだけ売上を積めたかが楽しみです。今週は仙台の○○百貨店に出掛けてVMDクリニックを行いますが、閉店後の作業なので泊まりになってしまいます。かなり寒そうですから、マッキントッシュでは辛いかも。
 先週はまた、来AWの『MDディレクション』の作業に追われました。ようやく金曜までにレディス11テーマ、メンズ10テーマにまとめ、スタイリングを決め込む事が出来ました。最近はメンズに勢いがあって新鮮なネタが多い反面、レディスはネタが出切って反芻活用する傾向が強いみたい。後は今週中にカラーパレットと素材ボードを仕上げ、来週中に解説文とヘッドラインを仕上げれば完成です。12月19日から各社を回ってディレクションを行います。当社の『MDディレクション』はマーケット動向を正確に反映してトレンドをMDに落とし込んだもので、即MD実務に活用できると御評価いただいております。
 次のSPACは来春2月8日のビッグコンベンションで、フランドルの栗田社長とポイントの石井社長をお招きし、ビジネスモデルとマネジメントについてパネルを行う予定です。相当鋭い突っ込みが期待出来そうですから、メンバー幹部は必参加でしょう。
 
 2006/12/05 12:15  この記事のURL  /  コメント(0)


ららぽーと柏の葉に行って来ました
 先週月曜日につくばエキスプレスに乗り、三井不動産の「ららぽーと柏の葉」の内覧会に行ってきました。研究学園都市「柏の葉キャンパス」の駅前という事でロハスをテーマにした開発が行われ、クライミングウォールや屋上農園、太陽光発電/風力発電等、確かに普通のSCとは毛色の変わった施設が目立っていました。モールでもスポーツ&アウトドア系、ロハスなナチュラルカジュアル系、キッズ&ファミリーカジュアル、健康テーマのHBCなどが主力で、一部の都市感覚OLショップは場違いなほど浮き上がっていました。お勧めはクイックシルバーストアやローカルモーション、エーグルやマンシングウェアといったスポーツ&アウトドア系テナント。これだけ揃ったSCは柏近辺では他にないでしょう。来春、お隣の「流山おおたかの森」駅前に東神開発が開業するSCはターミナル立地(つくばエクスプレス×東武野田線)を活かして郊外ターミナル感覚のファッション性を訴求すると聞きますから、「ららぽーと柏の葉」とは上手く補完しあうのでは。
 郊外SCもお定まりの大型テナントを中核にした定番型は過去のものとなり、それぞれ立地特性に応じた個性的な構成が行われるようになりました。来春も次々と開発されるSCから目が離せませんから、出来るだけ訪問して印象をお伝えしましょう。
 今週も幾つかの「VMDクリニック」があり、29日には月例SPAC研究会を開催します。今月は「ターミナル〜郊外SCの注目業態/ブランド総検証」をテーマに最近の好調業態/ブランドや新業態/ブランドの販売数字とコンセプトを検証し、今後の有望ポジションや開発手法を提示するというものです。この機会にSPAC研究会への御参加を検討されては如何でしょうか。
※SPAC研究会の御案内はこちら
 2006/11/27 09:55  この記事のURL  /  コメント(0)


売上は創るもの
 先週は幾つかの店頭クリニックがあり、秋のセミナーシリーズを締めくくる『ブランディングVMDゼミ』を終えてほっとしたと思ったら、土曜日朝からIFIマネジメントコースの講議があって、週末はグッタリしてしまいました。今週もVMDクリニックが三つあり、IFIプロフェッショナルコースの講議も入っています。23日の勤労感謝の日も休めず、金曜日夜には都内百貨店バイヤーが一堂に会する情報交換サロンがあって、土曜日も仕事するというしんどい週になりそう。
 毎月、20日前から月末にかけて集中するVMDクリニックですが、そのポイントは現実のMD展開を今売れるMD展開に編集して見せる事に尽きます。今売れるアイテム/カラー/ルックを如何に強調して訴求するかで販売数字は大きく動くからです。MD展開は部分的には2〜3週射程で修正されるにしても総体は何ヶ月か前に仕組まれたもので、どうしても現実の販売進行とはズレが生じてしまいます。手持ち在庫を最適に編集してこのギャップを埋め、現実の販売進行に近付けないと販売予算の達成は望めないのです。
 具体的なテクニックは店頭のグルーピングと配置、アイテム/カラー/ルックの意図的強調訴求ですが、最新の販売動向やスタイリング傾向に精通していないと判断を誤りますし、配色や造形の美術的研鑽を積まないと洗練された陳列は組めません。加えて、店頭在庫と店ストック在庫/後方在庫を意図的に操作し、より鮮度の高い構成に見せる必要があります。情況にもよりますが、上手くやれば翌日から即、売上が2〜3割高まります。細かいテクニックは山ほどあり『即時売上向上VMD運用ショップ運営ゼミ』で公開していますが、売場で実際にやって見せないと会得は困難でしょう。
 
 2006/11/20 14:12  この記事のURL  /  コメント(0)


ダイヤモンドシティ・ミューに行って来ました
 先週は当社主催の『出店戦略ゼミ』『マーチャンダイジング技術革新ゼミ』が続き、ちょっと話し疲れました。人前で講演するのは慣れているとは言え、相当にエネルギーを消費する行為で、いつも終わるとグッタリしてしまいます。二つのゼミをこなして週末のゴングに救われたのも束の間、日曜日にはイオンモールの高崎SCをチェックに行き、月曜日には武蔵村山ダイヤモンドシティ・ミューの内覧会に出掛けました。高崎SCは行きも帰りもドアツードアで90分ピッタシとスムースでしたが、武蔵村山SCは中央高速側からアクセスすると渋滞がきつく、行きも帰りもちょっとうんざり。まだ開店もしていないのにSC周辺も渋滞が多く、開店したらいったいどうなるのかと不安になりました。
 ジャスコと三越、フラクサスの2.5核大型SCとして注目されるミューですが、一周した印象は『えっ、こんなものなの』。全館くまなく回って捜したものの、三越内の“エクレクティカ”とモール3Fの“ピンク ラテ”ぐらいしか目を惹くストアは見つかりませんでした。どちらもワールドの開発したもので、フラクサス(もちろんワールド)とこの両店を除けば高崎のイオンモールと似たり寄ったり。ワールドが協力してくれないと目新しいSCは創れないというのが現実なのです。
 ここのフラクサスは約630坪と従来より小振りで、“エクレクティカ”に百貨店ブランドを割いた為に手頃なSPA商財ばかりになり、買い易いけどグレード感のないストアに終わっています(大きな“オペークドットクリップ”みたい)。その分、“エクレクティカ”はワールドの百貨店ブランド群にインポートのセレクトや洗練されたギフト雑貨なども加わり、三越の格を保つ役割を果たしていました。三越の格と言えば、化粧品売場の正面にドーンと大きな“シャネル”が鎮座していたのが目立ちましたネ。
 追伸)イタトラ好きの男性なら“エクレクティカ”のメンズは必見。こんな上質なセレクト品がこんな手頃価格で売られて良いのかと義憤にかられるほど。銀座や丸の内にあればピッタリだけど、ここではネコに小判かも。
 
 2006/11/13 19:32  この記事のURL  /  コメント(2)


COOがCEOに化ける時
 近年、COO達の移籍が目立っている。ついこの間までA社で専務/常務執行役員として飛び回っていた人が、数カ月音信が途絶えたと思ったら、B社の社長になったと業界紙の人事欄に乗ったり挨拶状が届いたりする。やはりと思う事もあるが、ほとんどは意外な身の振り方に驚かされる。オーナーCEOと反りが合わなかったりライバルとの社長レースに破れたりと理由を推察出来るケースもあるが、多くはCEOへのキャリアアップ、あるいはキャピタルゲインを求めての転身のようだ。
 COOとして幾ら頑張っても数千万円の課税報酬(手取りは6掛け)を得られるだけで、先の保証は何もない。何処かで株式公開のキャピタルゲインに預かったりオーナーCEOに転身出来なければ、ましなサラリーマンで終わってしまう。実力あるビジネスマンならチャンスを虎視眈々と狙っているはずだ。それを証明するように、株式公開直後の企業で幹部の退職が目立つ。キャピタルゲインで潤おう役員達とそれを得られなかった中堅幹部の間に溝が出来、キャピタルゲインが見込める新手企業へ転職してしまうのだ。そんなドラマを私は何回も見て来た。最近も某社の雇われ社長を辞してC社子会社の社長に転じた某氏と話す機会があったが、キャピタルゲインを得てオーナーCEOにという夢を語っていた。彼を慕って集まって来た中堅幹部達もキャピタルゲインを夢見ているのだろう。
 事業を組み立て離陸させる力量のあるビジネスマンにとって報酬の高さは過渡的な満足でしかない。雇われCOOからキャピタルゲインを握るCEOへの転身は必然のシナリオなのだと思う。
 2006/11/06 10:31  この記事のURL  /  コメント(0)


マークアップし過ぎです!!
 先週(23〜27日)は月度のMD切り替えサイクルにあたり、朝に夕に(開店前と閉店後)VMDクリニックが続きました。連日の早出と残業?にバテ始めたところを週末のゴングに救われたというのが実感です。
 お手頃価格のカジュアルSPAからセレクトショップ、百貨店の自主売場、インポートブランドとクリニックする売場は様々で、商品を手に取って陳列してみると品質感の差が歴然と感じられます。お手頃カジュアルは後加工/付加加工が勝負で、素材は何処も似たり寄ったりの中国素材。縫製始末に破綻が無ければ良しとする世界でしょう。セレクトになるとさすがにインポート商品には素材/デザインともキャラがありますが、縫製始末はお手頃カジュアルより乱れ気味。そんな事を気にする人は買わないでくれという事なのでしょう。セレクトのオリジナルはコストを抑えたOEM調達が主流で、素材のキャラやクオリティは価格に見合うとはとても思えない。お手頃カジュアルSPAと大差ない商品に倍の価格を付けているものさえ見られます。
 百貨店のブリッジセレクト自主売場やインポートブランドではさすがに高キャラ/クオリティの素材も使われていますが、縫製にキャラがあるのは極々一部の手縫い品だけ。後は大量生産の中国製も日本製も大差ありません。さすがにイタリア物(伊アパレルの東欧工場製も含む)には縫製糸と縫いテンションの緩さが光るものがあります。ブリッジ価格のブランド商品でも国内素材/縫製品は手堅い仕上げでNB的なカッチリ感があり、イタリア製品的な緩い上質感を期待する向きには失望を否めません。中には中国素材/縫製の商品もあり、デザイン/縫製はともかく素材のチープさはいただけません。総じて素材が劣悪な割高品をブランドネームに騙されて買わされているというのが実情でしょう。
 実際、小売価格に対する工場原価率はこの15年で10ポイント近くも下がったのではないでしょうか。その要因は百貨店の歩率高騰とSPA型ビジネスモデルの氾濫にあると思います。低価格/高品質で知られるファーストリテイリングの調達原価率が36%程度と推察されますから、他のSPAはもっと低コスト率で調達していると見てよいでしょう。百貨店ブランドの調達原価率など、80年代の33%程度から24%程度まで圧縮されたと言われます。統計的に見ても百貨店から駅ビル/ファッションビルへの消費移動は明白で(両者のボリューム価格帯は10対7)、さすがの百貨店の高歩率も数年前にピークを打って低下に転じています。“ユニクロ”のファッション化や“ZARA”の急速多店化で、マークアップし過ぎのSPA業界もやがて転機を迎えるのでは。
 
 2006/10/30 10:31  この記事のURL  /  コメント(0)


20年も続く秘密サロン
 先週の木(19日)、金(20日)と月例の「販売情報交換会」を行いました。これは都内主要百貨店/セレクトショップのバイヤーが一堂に会して最新の販売情報を交換するもので、タイプ/ブランド/アイテム別の販売実績から売れ筋までリアルな情報が飛び交います。木曜日は婦人服、金曜日は紳士服の会で、もう20年以上も続いているクローズド・サロンです。
 今月はさすがにコート情報に集中し、テストセールスの反応分析から直近の販売動向、果てはピークへの仕込み状況まで白熱した報告が続きました。それによればレディスの本命はハーフからロングのダウンコートで、襟や袖、ウエストのデザイン性がポイントとの事。ウールは一歩遅れてファー付き上質素材のドレス系/ロイヤル系が主流になるようです。メンズは「モンクレ争奪戦」の過熱ぶりに象徴されるようにダウン本命は確実ですが、店頭のカラー展開にも拘らず売れ筋は黒に集中しているとか。詳しくはビジュアルも含めて26日のSPAC研究会で報告されますが、エッセンスはFCNの「百貨店バイヤーズサロン」でも見れます。
 各社の中枢が参加している会ですから、20年も続けば会の参加者も組織を上り詰めて行きます。M社の常務取締役本店長、O社の代表取締役社長、I社系列のIW百貨店社長も毎月、会で顔を会わせていた人達です。今の参加者の中からも明日のエグゼクティブが出ることになるのでしょうが、発表が面白い人が偉くなるという訳でもありません。男の出世は実力と人柄はもちろんですが、チャンスと嫉妬の罠をどうくぐり抜けていくかで命運が定まるのです。次期社長を噂されながら嫉妬の罠にはまったり、有能ゆえに問題を抱えた子会社を転々とさせられたり、男の人生は流転なのです。
 おっと失礼。女性エグゼクティブもこの会から出始めています。この春まで来ていたO社のCさんは30代で初の女性部長に抜擢され欧州に栄転されましたから、10年もすれば役員になれるかも。エグゼクティブはともかく女性バイヤーは婦人服会参加者の2〜3割を占めています。ホットパンツにキラキラネイルなんて109系バイヤーも参加しているのです。
 2006/10/23 11:27  この記事のURL  /  コメント(0)


“g.u.”(ジーユー)は日本に不要です
 今日(10月13日)はファーストリテイリングの最低価格新業態“g.u.”のデビュー日でしたので、スケジュールの合間をぬって南行徳のダイエーまで行って来ました。
 表参道から半蔵門線に乗って九段下で東西線に乗り換え、計40分ほどで南行徳駅に着きましたが、ディズニーランドの隣駅とは思えない殺伐とした駅前に出鼻を挫かれました。駅から安アパートが並ぶ緑のほとんどない住宅街を歩いて行くと、ダイエーの裏口に出ました。これがまたパッとしない寂れたアーバン立地で、駐車場にはチャリンコと安手の小型車が散見されるという夢のない風景。店内も相当に荒れ果てているのではと恐る恐る入ってみると、意外にキレイにリモデルしてあるのにビックリ。産業再生機構ってお金があるんだ。1Fには衣料テナントが並び、2Fにもダイエーの衣料売場が広がっているのに、またビックリ。食料品に特化したんじゃなかったっけ。NBのコンセも多いけど自営の平場もまだちゃんとあったのに、またビックリ。産業再生機構の発表とはずいぶん違うんだな。
 肝心の“g.u.”がなかなか見つからない。ようやく2F奥の階段室の裏に見つけましたが、お昼時間だというのに大変な人だかり。特大の開店チラシに誘われて来たバーゲンハンターの人たちと解りました。朝の取材陣が一部まだ残っており、レポーター風のお姉さんに“g.u.”の服を着せてビデオカメラを回している一方、人込みに紛れてスーツ姿のおじさんもあちこちに。業界の関心が伺えました。
 “g.u.”の店舗はカラーウォールやVPで化粧はしているものの、プレハブ同然の最低仕様。最近のモダンになった“SUZUTAN”や“しまむら”に較べれば特設バーゲン会場の域を出ていませんでした。“ユニクロ”よりはハンガー陳列がぐんと多いものの、定番ニットなどは“ユニクロ”みたいな台帳棚陳列、壁面にもアウターのフェイスアウト/スリーブアウトに混じって“ユニクロ”風なパンツの棚陳列が垣間見えました。
 「商品の価格と品質は」という当然の関心に答えるなら、価格は公表通り“ユニクロ”の2〜3割安。開店目玉には390円のTシャツ、490円のジャージパンツ、590円のチェックネルシャツ、果ては90円のソックスやショーツ、キャミまでありましたが、レギュラー商品は総じて「安かろう悪かろう」というのが実感。デニムやチノのパンツこそ“ユニクロ”と大差ないのに安いという評価でしたが、ニットやカット、アウターは値段相応の代物。縫製こそ目立った破綻は見られなかったものの、素材は今時こんなものがあったのかと思うほど粗雑なものが多く、70年代の“Kマート”を思わせる程。でもパターンや色は“ユニクロ”より若々しいとの評価もあり、「貧困な30代ニューファミリーのための最低価格カジュアル店」というのが偽らざる印象でした。
 南行徳のダイエーにはピッタリだと思うけど、もっとましな品質で大差ない価格のカジュアルチェーンもあるし、「意外にファッショナブル」とパブを仕掛けているものの感度では量販店のヤングカジュアル売場にとっても適わない。ベーシックからちょいトレンドまで様々な品質/仕様/面の商品がごちゃ混ぜされた店で、特設バーゲン会場としか言い様がない。
 「下流社会」とか言われて最下層の生活をしている人も沢山いらっしゃるのかも知れないが、こんなに「安かろう悪かろう」なカジュアル業態が果たして日本社会に必要なのだろうか。どんなに生活が苦しくても少しは夢のある商品が欲しいのでは。はっきり言います。今日の日本社会に“g.u.”は不要です。
 2006/10/13 18:18  この記事のURL  /  コメント(0)


SCだらけになってこの国はどうなるの
 10月8日の日曜日は家族もそれぞれの予定があったので、野田/春日部方面へ開発予定大型SCの立地検証に行って来ました。首都高はVIP通過とかで渋滞していたので空いた都心を下から抜けて駒形から首都高に入り、柏ICから16号という ルートでスイスイと目的地に着いてしまいました。
 春日部の大型SC(KTインセンスモール)は一部用地未買収の虫食いのまま重機が入って整地作業が進行しており、08年11月開業へ向けて見切り進行していました(デベもアンカーも未定)。そこからイオン野田舟形SC建設地まで16号線を車でわずか9分(7.4km)。こんな至近距離で大型SCが競い合う時代なんだと実感させられました。さらに16号線を柏方向へ戻ると12km弱で三井不動産のららぽーと柏の葉SCが11月に開業、その隣のおおたかの森駅前には東神開発のSCが来春開業します。そこから江戸川を渡ると約5km西に三井不動産のららぽーと新三郷が08年開業、そこから約4km北西には商業面積186,000平米という巨大なイオン越谷レイクタウンSCが08年春開業へむけて建築中。その8km西にはイオン浦和美園SCがこの春に開業したばかり。
 これだけ接近戦になってみんな採算取れるのか、さすがに心配。これらのSCはすでに当社で緻密に売上が予測されており、計画通りの売上が確保出来そうなSCもあればやめとけばいいのにと思うほど苦しいSCもあります。衣料品テナントの平均的な坪効率で言えば月坪19万円級から10万円かつかつ級まで。テナントさんも選択を誤れば大損害を被ってしまいます。
 07春から08春にかけて開設される20の大型SCについて立地検証と売上予測を報告するのが11月8日(水)開催の『緊急提言SC出店戦略ゼミ』。ここは○、ここは×とはっきり数字を挙げて言い切るゼミですからテナント企業にとっては必参加ですが、検証されるデベにとってはヒヤ汗もの。でもこれまで開設された大型SCの売上予測は±5%の精度で適中していますから、信頼度は抜群です。
 勝てるSCの条件は判るけど、日本国中SCだらけになって中心商店街が悉く空洞化すればこの国はどうなるのだろう。そう心配する人も多いようで、『まちづくり三法』改正とあいなったわけです(『改正都市計画法』の施行は07年11月頃)。それまでに駆け込み開業する大型SCが急増しそうですが、08年以降は一気に開発が急減し、一万平米以下の小型SCと都心型SCに開発の主力は移ると見られています。それに対応する業態開発も既に始まっていますから、11月のSPAC月例会では徹底的な検証を行い、有望業態のポジション/コンセプトと開発要件をはっきり提示致します。
 確かに、SC開発に夢中になるより北朝鮮や階級分化の心配をする方が真っ当な情勢で、新総理の提ずる『美しい国』ともSC開発ラッシュは相容れないようです。東関東自動車道を自宅へと走るフロントガラスごしに、成田へと降りていくジェットが見えました。今日、パリから帰って来るあの人が乗っているのかも。
 2006/10/10 10:13  この記事のURL  /  コメント(0)


使える陳列写真が見つからない
 昨日は10月12日(木)に開催する『VMD運用ショップ運営ゼミ』で使うスライドやデジフォトを選んでいました。9月以降、取材した何百という売場写真からルールに叶った美しい陳列を捜すのですが、撮影時点でしっかり選んだつもりでも拡大すると色配列やアイテム配列が狂っていて使えないものばかり。中には照明が不適で色がズレて見えるものも(私の写真が下手なのではありません)。
 日本のブランドショップやセレクトショップの陳列もレベルが上がって来たとは言え、人様に「これが理想的実例です」と紹介出来るような陳列はめったにお目にかかれない。ほとんどの店スタッフは色環表が頭に入っていないようで、明るい暗い/暖色と寒色ぐらいしか解っていない。ベージュと茶色の色相には皆、騙されている。ましてや美しいフォルムとか韻律とか求めても無理というもの。でもブランディングには美術的洗練が不可欠だと思うのですが。
 もちろん、それ以前に「ルックとMD構造の適確な表現」「在庫情況に即した売れる再編集」が出来ていないと困ります。ルックの組み方がシャープでないとインパクトがないし、「ルック回転」とか「モノルック色組み換え回転」とか「ルービックキューブ棚組み」とかいった陳列技法を知らないと効果的なルック表現は出来ません。当然ながら、提案サイクル-->実売サイクル-->売り切りサイクルという売場展開の流れに即して、ルック提案-->パワーアイテム訴求-->売り切り再編集と陳列運用の軸も替わって行きます。
 「適確なルック/MD表現」「売れる再編集運用」「陳列の美術的洗練」の3点がVMDの柱であり、その組織的運用が成果を決めるのです。「いい例がなかなか見つからない」と言いましたが、数少ない上手例を挙げれば、ルックやMD構造の表現では“ZARA”や“リズリサ”“バーバリーブルーレーベル”“バナナリパブリック”、美術的洗練では“ルドーム エディフィス エ イエナ”や“ノーリーズ”“クロエ”“エトロ”などに見るべきものがあります。
 VMDに関しては今シーズン、10月12日(木)の『VMD運用ショップ運営ゼミ』、11月17日(金)の『ブランディングへのVMD技術革新ゼミ』の2ゼミを開催しますが、前者は「売れるショップ運営体制」「売れる再編集運用」を軸とした内容、後者は「適確なルック/MD表現」「陳列の美術的洗練」を軸とした内容となります。ちなみに10月12日(木)の『VMD運用ショップ運営ゼミ』は大変好評で、5日朝段階で残6席となっています。御検討中の方はお急ぎお申し込み下さい。
 2006/10/05 10:41  この記事のURL  /  コメント(0)


セレクトブームの光と影/難波マルイの光と影
 月曜日は早朝からのぞみに乗って「ミント神戸」の取材へ。その足で難波のマルイも見て来ました。
 「ミント神戸」は2FがJR三ノ宮駅とデッキで繋がり、BFが阪神百貨店の食品館、1Fがバスターミナルになっています。「NU茶屋町」「天神ヴィオロ」と続く最近のミニ・ファッションビルの定石に基づき、2〜4Fをセレクトショップ中心に構成して5Fにインテリア〜ライフスタイル関連を配置。6Fは“タワーレコード”他のメディア関連、7〜8Fはフード&サービス、9F〜12Fはシネコンという構成です。
 セレクトの主要所は“ユナイテッドアローズ”、同“ビューティ&ユース”、“スピック&スパン+フレームワーク”“ル・ドーム エディフス エ イエナ”“エディション”“アーバンリサーチ ロッソ”“B'2nd”などでしたが、“エディション”は変に暗ナチュラルっぽく、“ビューティ&ユース”は股裂きMDのままで、総じて小奇麗だけど何かズレてるという印象。「天神ヴィオロ」みたいなスッキリ良く出来ました感はありませんでした。  
 神戸にはこれまで有力な正統派セレクト集積のビルがなかったし、何せ駅直結ですから集客と売上に不安はないでしょう。ファッションビルというのは構成力というより立地で、立地が良い構成を実現するというのが実態。好立地の「天神ヴィオロ」なんか失敗のしようがない反面、立地が悪い「NU茶屋町」なんか相当に苦しいのでは。
 それにしても、セレクトショップはどんどん新業態/派生業態を開発してどんどん店を増やしているし、アパレルからの参入も多い。それでいて一部を除いては既存店売上も伸びているから、マーケットがどんどん拡がっているという事なのだろう。新業態には的外れや手抜きも目立つけど、それでもまずまず売れていると言うからマーケットの勢いというのは恐ろしい。千載一遇のチャンスとはこういう情況を言うのだろう。ターミナルのアラサー世代は百貨店からセレクト集積にどんどん流出しており、百貨店の数少ない稚拙な自主編集売場程度では流れを食い止められない。百貨店はミニ・ファッションビル級の自主編集売場&セレクトショップ集積フロアを急ぎ開発すべきではないのか。
 難波のマルイは若い人の洪水で、エスカレーターから溢れ落ちそうな勢いでした。これまで難波にはアダルト志向の百貨店や中途半端な地下街しかなく、ヤング〜ヤングアダルトに特化した大型商業施設がありませんでしたから、待ってましたとばかりに若い人々が押し寄せたのでしょう。エロいOL集積や艶お兄いなメンズ集積は皆無でしたから(元々、大阪人はそういうコテコテしたものが大好き)、若者が殺到する事態となったのです。これに味をしめてマルイは関西の新店開発を加速するのでは。その影で、難波シティのメンズ集積は悲しい程、閑散としてましたネ。作ったばかりだというのに。
 
 2006/10/03 12:33  この記事のURL  /  コメント(0)


VMD指導の目的
 今週は火曜日が某大手百貨店自主編集売場、水曜日が某大手セレクトショッブと月例VMD指導が連続。前者は閉店後、後者は開店前でしたから水曜日の朝はちょっと疲れました。睡眠時間に食い込む訳ではありませんが、テンション高めに神経を集中する指導なので、疲労がキツイのです。
 某大手百貨店では三つの自主編集売場を掛け持ち、Aで修正を指示してスタッフが陳列作業をしている間にBを指導し、Bが修正陳列をしている間にCを指導。またAに戻って陳列を点検して指示を出し、BCへ回る。最後にABCと今日の総括をして回る訳です。現場が理解し自分で出来るよう、理屈と技法を懇切に説明しなければなりませんから、相当のテンションが必要なのです。翌朝の某大手セレクトショップも路面の大型店で、レディスのカジュアル、ドレス、メンズのカジュアル、ドレスと四つの売場を同じように指導して回るのですから、前夜同様のパワーが求められます。
 前者は始めてまだ間も無いので基本のルールと技術が定着しておらず、テイストやカテゴリーの区分けが混乱していたり、色の配列順が汚く狂っていたり、アイテムの並べ順がルックになっていなかったりと、基本を徹底するのに時間を食われてしまいます。後者はもう2年目なので基本はほぼマスターされ、売りたいアイテムをキーとしたモノルック出前のラックを設定したり、新鮮アイテムをスパイスしてシーズン強制シフトをかけたりと売りに直結する仕掛けを教えています。
 VMD指導の目的は三つ。一つは現場の運用能力を高めて手応えを実感させ、投入と販売の動向に即して自ら売れる陳列を編集出来るよう育てる事。ひとつは本部からのデリバリーと陳列指示を一定のルールの下に現場が運用出来るよう基本ルールと運用ルールを確立し、組織として効率的な運営とブランディングを実現する事。一つはスムースな運営とブランディングを実現すべく、売場のVMD展開と商品計画の枠組みを一致させる事なのです。ですから、VMD指導には必ず事業部長やバイヤー/MDに立ち会ってもらいます。技術の修得に留まらず組織としての体制確立を目指すものなのです。
 2006/09/21 16:45  この記事のURL  /  コメント(0)


法律なきVMD行政の混乱
 毎月、少なからぬブランドやストアのVMD指導を行っているが、どんどん上達して売上が上がるケースとそうもいかないケースがある。その明暗はVMDの法律と行政指導、現場運用の関係がしっかり築かれているか否かに起因しているようだ。
 本部が各店舗にVMD展開を指示するスタンスは二つに別れる。ひとつはグルーピングからユニットのレイアウト、各什器の棚割(品番/色/サイズの配置と陳列形状)まですべて厳密に指定するやり方だが、立地から店舗形状、什器の規格と数量まで標準化が徹底されている事が前提となる。現実にはそんなブランドもストアも存在しないが、ユニットのレイアウトと各什器の棚割指定を切り離せば近似した運用は出来る(棚割の変化運用/再編集統合ルールを別途に定める必要が在るが)。
 ひとつはおおまかなグルーピングとレイアウト、打ち出し/実売のルック組みやアイテム集積の陳列を指示するだけで、実際の運用は店舗に任せるやり方。店舗の標準化が困難な場合には現実的なやり方だが、各店長の力量や手法で運用も成果も異なるから、マネジメントもブランディングもままならない。
 私の指導経験から言えば、どちらも非現実的だ。なぜなら前者では現場の運用能力が育たず、前提とした情況と現実が異なって来ると混乱するばかりで対応出来ない。後者では統一した運用が出来ず、本部が成果をマネジメント出来なくなる。本部がマメジメント出来て、かつ各店舗が上手に情況対応出来るためには、本部と店舗の両方が理解する「法律」が必要なのだ。
 「法律」というと「マニュアル」を作ればいいのかと短絡的に受け取られるかも知れないが、「マニュアル」の性格も目的によって多様だし、運用体系が曖昧では実務に定着しない。どう運用するか行政ルールを先に決め、そのための「マニュアル」を作るという手順が肝要なのだ。
 まず品揃えの構造とレイアウトをツリー形状に規定し、その各ユニット(元番地)の陳列ルールと時系列運用ルール、そこからフォーカスする打ち出しラック(出前)の陳列ルールを「マニュアル」に定めたい(アイテム/カラー/サイズの配列順やフォルム形成、ルック配列のルールまで)。その上で毎サイクル、元番地への投入と出前陳列/VP、前サイクル商品の再編集を本部がビジュアル指示(行政指導)する。出前陳列/VPでは店タイプ別に2〜3の選択肢を提示し、情況対応を店舗に委ねる(一つだけ指示すると各店舗で勝手に工夫してしまう)。基本ルールと選択出来る指示を明示し、店舗での運用巾を規定する事が大切なのだ。
 この法律/行政指導/現場運用の関係が定まれば、売上とブランディングを本部がマネジメント出来るVMD体制が確立出来る。現状のVMD体制をチェックしてみては如何か。
 追伸 昨日は“博多ヴィオロ”の取材に行って来ました。天神は岩田屋回りの狭いエリアにファッション関連が集積していて買い物にもリサーチにも大変便利ですネ。ヴィオロのUAもシップスも良く出来ていましたが、大名にオープンした“ビューティ&ユース”は有楽町西武同様、場違いな加工系ゆるアメカジがコアのモードミックス系とミスマッチでガックリしました。“博多ヴィオロ”の一押しは3Fの“CROON A SONG”でしょう。

 2006/09/15 16:37  この記事のURL  /  コメント(0)


“ドレキャン”に◎、有楽町西武に△
 火曜日には“ドレキャン”のショーを見て木曜日には有楽町西武(リモデルのプレスディ)を見たよ♪♪♪。
 開場から一時間も待たされた“ドレスキャンプ”のショーは76体がわずか10分ほどで駆け抜ける小気味良いペースで、雑誌モデルがトロトロ出て来る「東京ガールズコレクション」の8倍速早回しといった感じ。ステージ慣れした外人モデルが一本線上を超内股で闊歩する正統派ランウェイショーを見て、やっとコレクションシーズンを実感。馬鹿デカいミラーボールの煌めきを背景に勢い良く展開されたコレクションの中身も世界のシーズンに先駆けた開催とは思えない完成度で、思わず拍手なんかしちゃいました。華美でクチュール感覚もある“ドレキャン”は元々、私好みで、昨シーズンは何点も購入したほど。
 当社のコーディネーター達は毎日何本ものショーを梯子しているようだけど、9時過ぎまで引っ張られるのは身に堪える。東京どころかパリ、ミラノまでランウェイを梯子した若き日は遠くなったものだと感慨深いものがあります。今シーズンもコレはという2〜3本で許していただいて、後は現役組に任せましょう。
 有楽町西武(正しくは西武百貨店有楽町店)のリモデルはビューティ館こそ画期的コンセプト(構成やVMDは凡庸)でしたがファッション館はブランドの入れ替えをまとめた程度で新鮮なインパクトを欠き、取材のフィルムもあまってしまいました(取材用は未だ銀塩フイルムの一眼レフを愛用)。敢えて注目するとしたらユナイテッドアローズの新業態“ビューティ&ユース”ぐらいなものですが、規模が中途半端なのにアメカジっぽいカジュアル商品も入れてしまってコアのモードミックス系商品がボケてしまい、店装やVMDにもナチュラル味がかかってシャキっとしないものでした。期待外れは否めず、博多、神戸の新店に期待を繋ぐ事にしました。
 2006/09/08 18:06  この記事のURL  /  コメント(0)


東京ガールズコレクション大爆発
 昨日の日曜日(9月3日)は3時から夕刻まで「東京ガールズコレクション」の長丁場に付き合った。4ステージ計22ブランドのショーは間にライブステージや「ミス東京ガールズコレクション」がらみのトーク、“アルバローザ”のゲストショーなどを挟んで延々9時過ぎまで盛り上がったよう(私は6時過ぎに退散)。
 原宿駅からギャルの波に押されて会場の代々木国立競技場に辿り着くと、こっそり裏口からVIP席へ。そこでユナイテッドアローズの重松会長、IFIの尾原蓉子さん、リヴァンプの玉塚元一さん他意外なVIP達と顔合わせ。参加ブランドの関係者に混じってIT企業の若手トップの顔もチラホラ。ネットワークの多様さにちょっとびっくりしました。
 VIP席と言っても競技場の段々椅子ですしシャンパンが振る舞われるわけでもなく(紙コップでコーラはもらった)、ランウェイから20メートルは離れていたのでコスチュームもモデルも遠望するだけ。エビちゃん、もえちゃんのキメ笑顔もモニターで見ただけでした。プロ向けのランウェイは見慣れているものの一般顧客向けイベントショーは初体験?で、のんびりした進行と雑誌モデルの素人ぽい弛いウォーキングにイライラしながらモニターを見ていたら、エビちゃんの一発笑顔で御機嫌が直ってしまいました(エロおやじイエイ!)。
 ランウェイに登場するコスチュームは今すぐギャルが着られるリアルクローズばかりで(クラブでしか着れないようなエロイ服も混じっていましたが)、今日から始まる「東京コレクションウィーク」(こちらは来春夏物です)とは次元を異にするものでしたが、盛り上がりはこちらに軍配が上がりそう。BOSEの大音響とCP制御の派手なライティングの下でギャル達が総立ちで嬌声を上げる様はロックコンサートかデカいクラブのようでした。今朝はTVもネットも「東京ガールズコレクション」がらみの報道がいっぱいで、メディアミックスの仕掛けはさすがのもんだと感心しています。
 ランウェイショーは時間も取られるしお仲間ごっこで群れるのもイヤだから行きたくないんだけど、ゼイヴェルのビジモデを実感したくて「東京ガールズコレクション」は見てしまいました(エビちゃん見たさではありません!)。「東京コレクションウィーク」も明日の“ドレキャン”ぐらいは見ないとマズイですかね。
 おっと追伸。9月1日にフロムファーストの裏口にオープンした“Liquor,woman&tears”はイケてました。“ETRO”のジャケット下に着れるマッチョなパーカがあったらベターだったのに。せっかく“Jacob&Co.”のキラキラ時計をしていったんだから。
 2006/09/04 19:32  この記事のURL  /  コメント(1)


東京ローカル
 9月の4日から8日までの5日間、世界のコレクションシーズンに先行して「東京コレクションウィーク」が開催されるが、果たして東京だけのために世界からプレスやバイヤーが来るものだろうか。彼等のスケジュールや予算配分を鑑みれば非現実的な願望なのかも知れないが、今回は政府の肝煎りでの‘心意気’を示す意味があるのだろう。
 欧米のプレスやバイヤーにとってみれば東京はファーイーストのローカル都市であり、ロンドン・ミラノ・パリといった地理的にもスケジュール的にも連続したコレクション・シーズンは存在しない。「TOKYOのためだけに」というのが実情であろう。遠い将来、東京・ソウル・北京が連係したファッション都市としてコレクション日程を連続させる日が来れば、情況も変わるのではないか。
 コレクションウィークはさておき、欧米のファッション関係者にとってTOKYOはファンタスティックで興味をそそる都市のようだ。“ラフォーレ原宿”や“109”は玩具箱をひっくりがえしたような猥雑な興奮に満ち溢れているし、裏原宿や中目黒は場末の妖し気な妖気に鳥肌が立ちそうだ。何が面白いといって、元ネタは欧米と大差ないファッションが大仰に誇張され、コテコテとレイヤードされた様はキッチュとしか言い様がない。まさしく‘歌舞伎者’といった体たらくなのだが、英語やフランス語に該当する言葉はあるのだろうか。東京に居てはそのコテコテ感は自覚しにくいが、「東京から大阪を見た感じ」といったら不適切に過ぎるだろうか。
 2006/08/28 20:22  この記事のURL  /  コメント(0)


アバンギャルド復活
 メンズの秋物販売動向を見ていると、加工物とアバンギャルドデザインの復活が実感される。ジーニングベースの加工物は昨秋冬から後退局面にあったが、凝った織物やレザーに縮絨をかけたりコーティングしたり洗いやダメージをかけた、質感に凝ったモードな加工物が新たに台頭しているのだ。その徴候は“L'ECLAIREUR”などの隠れ家系ヴィンテージモードのセレクトショップに見い出されていたが、予想を超えた速度でメジャー化しようとしている。80年代始めに一世風靡した非対照なパターンやタック/ジップ使い、肩や腰の構築的なデザイン、ダークなモノトーン調も急速に拡がりつつある。過去のものと思われていたクリエイターブランドの販売数字にも一部で顕著な復活が見られるなど、流れの変化は明らかだ。
 80'Sなアバンギャルドの復活は景気回復のせいもあるのだろうが、あくまで個人的な隠れ家的モードとして受け入れられているのであって、異形な若者達がゾロゾロと連む当時のようなタコ壷現象とは無縁だ。ということは、あまり一気に拡がれば先行したアバンギャルド派は腰が引けてしまうかも知れない。また、そのような内省的モードであって欲しいと思う。
 レディスでは隠れ家系ヴィンテージモードな加工物はまったく出ておらず、ネオ・クチュールと80'Sアバンギャルドが交錯したようなデザインがキャリアゾーンの一部で見られる程度。レディスにはメンズのような隠れ家的モード観はまったくないから、‘ちょっと新鮮なディティール’で終わってしまいそう。メンズのようなムーブメントには発展しそうもない。
 2006/08/21 18:49  この記事のURL  /  コメント(0)


高原の休日
 9日間の夏休みが明けて表参道のオフィスへ向かったが、一部の信号がフリーパスでスイスイと到着してしまった。信号も休みボケかと思いきや、なんと停電であったそうです。今週はギョーカイの大半が休みだから、休みボケでも支障はなさそう。
 先週はヒンヤリとした高原の別荘地で過ごしていたから、渋谷の住宅地のカラッとした暑さが身にこたえる。三笠のからまつ並木から少し入った静かなコテージを拠点に美ヶ原や湯の丸高原、東御市あたりまで足を伸ばし、4マテックのふんばりで山間ドライブを楽しんだり高山植物を愛でたり、高原野菜のランチを味わったりしていたのです。とりわけ、玉村豊男氏のヴィラデスト・ガーデンファーム&ワイナリーにはすっかりハマってしまいました。摘みたての野菜がこんなに美味しいとはこの歳まで知らず、ズッキーニやプチトマトの甘味には新鮮な感動さえ覚えました。スーパーマーケットの流通システムが野菜の死骸を小奇麗に化粧して提供するだけの空々しいものだと改めて実感した次第です。量販店の衣料売場はファッションの死体置き場、インポートセレクトショップなどは高級ミイラの展示即売会場という事になるのかな。
 とまれ、爽やかな高原の生活と農業に魅入られた休日でした。東御の高原に較べれば湿気の多い軽井沢は冷蔵庫の野菜室みたいなもので、スノッブなブランド物避暑地のミイラのように思えて来たのです。来年は東御に一夏の居を構え、農業の真似事でもしてみようかな。
 2006/08/15 11:12  この記事のURL  /  コメント(0)


ギョーカイの季節感
 ようやく梅雨も明けて夏らしい季節になりましたが、もう店頭は秋色一色。自分のやってる仕事は来春夏真っ盛り。ファッションギョーカイって季節感ずれまくってますね。私のココロも先週あたりから軽井沢を彷徨っており、こ汚い表参道にはココロ在らずという状態。老若男女の人混みとホコリまみれの表参道って、ほんとに悲しくなる。
 バーゲンに入って私が買ったものと言えば“ISAIA”と“VALLANTINE”のスーツ、イタリアものの手縫いシャツぐらい。ユーロ高が進んだ今時、バーゲンでなければ決して私の手には入らなかったでありましょう。あと、プロパーでは“MAXI”のハワイアンジュエリー。コレ、めちゃカワいくて、ついまた買ってしまってます。ハニーのジュエリーに較べると0がふたつ少ないから、ネクタイ感覚で買えちゃうのです。プロパーと言えば、先々週やっと履き下ろした“INCOTEX”の白スラックスは1月に買ったクルーズ商品。リゾートの季節になって、ようやく日の目を見た訳です。エンドユーザーとなってみて、ギョーカイの不可思議な季節感が実感出来ました。
 何時の日かイタリアやチェコの工場を国内や韓国の工場のようにクイックに使い回し、こだわり仕様アイテムが月々ジャストシーズンにデリバリーされるようになればいいな。たかが洋服に困って捜し回ったり、何ヶ月も早買いしたりはアホらしいと思うのです。
 2006/08/03 18:53  この記事のURL  /  コメント(0)


TOKYOマーケットに見る晩夏〜秋冬のMD展開
 先週はLONDONの店頭から欧米市場のMD展開を論じたから、今週は目前で進行するTOKYO市場のMD展開に触れねばなるまい。
 TOKYOでは6〜7月がぐずついて盛夏物がダブつき、バーゲン初日は盛り上がったものの雨天で後が続かず、梅雨明け遅れで盛夏物が盛り上がらないまま晩夏・初秋物に関心が移りつつある。赤文字雑誌とタイアップした‘プリプラ’(プリティプライスと名付けた夏物実需品のお手頃価格企画)服キャンペーンはそれなりに盛り上がったようだが、総じて夏物の消化率は散々だったのでは。元々、夏物はGW明けから立ち上がって6月いっぱいプロパー展開し、7月1日(ほぼ欧米も共通)頃からバーゲンになる。6月も後半からはバーゲン待ちの買い控えが避けられないから、プロパー販売期間はせいぜい6週間しかない。結局は過半をバーゲン処理する事になる。そこで、目先の効くアパレルは夏物を最小限に抑え、バーゲンと並行して直近企画で‘プリプラ’展開したり晩夏物に山をかける訳だ。最近は秋色・夏素材の晩夏物(御盆から値下げして8月中に売り切る)、秋トレンド初秋素材の初秋物(9月いっぱいプロパーで売って体育の日の連休に値下げして売り切る。ノースリーや半袖も多い)を仕掛け、一気に冬物に移るストーリーが主流となりつつある。
 秋色紡毛ウール中核の冬物は春色獣毛混系のホリデイ(日本式には梅春物)が11月始めに立ち上がると一気に陳腐化するから、これもプロパー販売期間は11月前半までの6〜7週程度と見るべき。その後はパステルやモノトーン中心の防寒アウターに春色のネック物インナーをコントラストする梅春物が主役となる。11月末にはパーティウエア、欧米式のクルーズ(クリスマス休暇向けのリゾートウエア)も立ち上がるが、前者は既に通年展開化しているし、後者はブリッジ以上の高級品に限定される(日本の大衆ではそのようなライフスタイルは少数)。TOKYO市場では12月末の初春物(多少の防寒性もある肉厚の春物)の立ち上がりをもって梅春物のプロパー展開が終わり、年明けのバーゲンに突入する事になる。
 このようなストーリーはこれまでの常識と少し異なるかも知れないが、プロパー消化を重視すれば避けられない組み立てだ。プロパー販売期間から逆算すれば、各シーズン商品をどれだけ仕込めばよいか想像がつくであろう。
 2006/07/24 18:51  この記事のURL  /  コメント(0)


ロンドンに見る夏のMD展開
 急ぎの要件があって3泊のロンドン出張に出掛けたが、当地はサマーバーゲン一色で晩夏MDはまったく見られなかった。6月末から始まったバーゲンは最終処分段階に入っており、50〜70%オフのファーザーリダクションの赤札(世界共通みたいです)が氾濫していた。バーゲン一色の7月の後はバカンスシーズンが明けて一斉に秋冬物が立ち上がる8月下旬まで開店休業みたいなもので、晩夏も初秋もなく突然、ウールコートの第1弾まで含んだ秋冬本番に突入する。パリは市条例によってバーゲン解禁日が定められるがロンドンと大差なく、晩夏初秋なく秋冬本番に突入するのも同様だ。MD展開上もキャッシュフロー上も、もったいない事このうえない。では、欧米はみな同じかと言うと、そうでもない。米国市場ではバーゲン入りがやや早く、7月後半からバック・トゥ・スクール(日本的に言えば晩夏)が立ち上がり、9月第一月曜のレイバーディ連休にこれがセールになった後、秋冬物が立ち上がる。
 四季がはっきりした日本市場は晩夏/初秋/秋冬/梅春/初春/春/初夏/盛夏と8サイクル(最近は晩夏・初秋が拡大し、秋はなくなってきた)で衣料MDが流れるが、欧州市場では秋冬/クルーズ/春/夏の4サイクル、SPAが本流の米国市場ではバック・トウ・スクール/秋冬/クルーズ/春/夏の5サイクルで流れている。グローバル展開のブランドではこの3エリアへの対応が求められ、米国あるいは欧州をベースとしたコレクションからデリバリーで季節展開のMDを組んでいる。元々がAW/クルーズ/SSの3コレクションからデリバリーを組んでいるに過ぎないから、日本市場への対応には限界がある。最近はジャパン・フィットなどのローカルMDも組まれるようになったが、シーズンMD展開のローカル対応はまだこれからのようだ。
 2006/07/19 17:34  この記事のURL  /  コメント(0)


自主MD成功への突破口は在庫の再編集陳列技術だ
 百貨店業界では自主MD気運が盛り上がり盛り下がりを繰り返して来たが、都市百貨店各社の動向を見ていると今度こそは「買取り」が定着しそうな勢いだ。「勢い」と皮肉っぽく言い放つのは、これまで何度も「販売消化」の壁にぶつかって腰砕けて来たからだ。
 百貨店各社はバイイングの精度と販売力の向上で買取りを成功させようと意気込んでいるが、店頭の在庫運用を見る限り、買取りの採算が採れるほど消化出来るとはとても思えない。立ち上げ時〜ピーク時〜売り切り時と切り替えて行く在庫の再編集運用が幼稚過ぎ、消化進行をドライブ出来ないでいるからだ。
 スタイル訴求とアイテム訴求のバランス変更、ルックの組み換え、カセットの解体再編、テイストやカラーのグルーピング再編、シーズン強制シフトなど、買取りが当たり前の専門店で確立されて来た再編集陳列技術を会得しない限り、買取りは成り立たない。一部の高級品を例外として、販売力強化とは実は再編集陳列技術向上の事なのだ。
 鳴り物入りでスタートしたイオンとIYのPB戦略も仕掛はイオンが一歩リードしたものの、販売消化進行を見る限りIYの逆点は明らか。イオンが軽視して来た再編集陳列技術がIYの現場には定着しており、消化ドライブ力に大差があるからだ。どんなに商品力を改善しても、再編集陳列技術が伴わないと現実の消化進行は進まない。量販店も百貨店もその事実を正視し、技術の修得と定着に全力をあげるべきではないか。
 2006/07/05 19:10  この記事のURL  /  コメント(0)


表参道が「おばあちゃんの原宿」になった
 私のオフィスは表参道ヒルズから一本入った裏通りに在るが、仕事やランチで表通りに出る度、ゾロゾロ連れ歩く大量の中年おばさんや老人に阻まれ、まともに歩けない。私にとってここはずっとビジネスの街であったから、スタスタと早足で歩くのが当然と思って来たが、今や老人集団と子連れに配慮して牛歩せざるを得なくなった。表参道を歩けばおばさんと老人の集団が溢れ、バスガイドが旗振って何十人も引き連れている姿さえ見られる。これでは正しく「おばあちゃんの原宿」だ。それは巣鴨商店街を指したキャッチフレーズのはずだったのに、今や本家原宿を指すに至ってしまった。 
 表参道ヒルズがそれだけ老若男女の関心を呼んだという事なのであろうが、「若者の街」「ファッション屋の村」という伝統が、表参道に大挙進出したデラックスブランドと表参道ヒルズによって完膚なきまでに吹き消されてしまった事は悲しすぎる。地価高騰で次々と去って行くファッション屋たちを見送る日々は辛いものがある。青春の記憶も感傷もすべては時とともに移ろっていくものなのか。真っ赤なギヤのクーペで表参道を疾走した70年代が懐かしい。
 2006/06/29 19:39  この記事のURL  /  コメント(0)


今時の男の子はギャル張りでキモい
 今朝の業界紙に“サロンボーイ”とかいう裏原風俗がフォーカスされていたが、「スタイリッシュできれいめカジュアル」との説明に思わずゲロってしまった。なるほど、かつてのやさぐれダルい裏原風俗よりはニートでこギレイだが、上半身のモード味コンパクトなテーラードアイテムに下半身はゆる細い加工物カジュアルパンツというスタイルで、フェミ男に変じたロック系お兄というキモさは否めない。
 近年はレディスのギャル系張りに“お兄アメカジ系”“お兄モード系”“ギャル男系”などとヤング男性の服装も風俗化しており、“チャラ男”とか“オレ様”とか対異性スタンスも盛り込まれている。いずれも去勢系か過剰な艶系かで風俗味が強く、恐竜支配下の矮性哺乳動物のようでキモいことこのうえない。女の子がギャル風俗を卒業して「○○ちゃん」「××ちゃん」へと進化を遂げたのと較べると、随分と幼稚に見える。
70年代の洗練されたモード味の若者風俗からは退化が著しく、「消費者進化論」に疑問符をつけたくなる。“ギャング系おじさま”の方がよほど洗練されたモード味があると思うのだが(おっと、「今時の若い者は」がつい出てしまった。我ながら爺いネ)。
 2006/06/05 14:07  この記事のURL  /  コメント(0)


今秋はレトロなモード回帰へ
 ブランドメーカーの秋冬展示会が続く季節になったが、「風俗臭が抜けてモード回帰が鮮明になった」というのが第一印象。イメージやスタイリングのネタはコレクションシーズンで出尽くした感があるが、顧客に向けた商品としての仕上げ面やフィットは展示会を見なければ解らない。
 ここ6シーズンほどは仕上げ面もフィットもストリート風俗に振れ、生いエロ感やダルなレイヤードが色濃く出ていたが、06SSコレクションから風俗離脱とモード回帰に転じてプレップなマリンルックやレトロなドールルックなどが春夏マーケットの主流となり、06AWコレクションでは50'Sクチュールデコルテから60'Sモダン、レトロ70'Sまで、様々なモードスタイルが登場した。それを受けての06秋冬展示会はコレクションのモード潮流に強く影響され、風俗離脱がようやく鮮明になったのだ。
 とは言え、現実のマーケットはモードトレンドを取り入れても風俗臭の残滓を色濃く残しており、赤文字雑誌モデルの「○○ちゃん」スタイルが売れ筋上位を独占している。それでもエロ艶剥き出しの読者モデルよりは小奇麗で爽やかになったのは救いが在る。秋冬へ向け「○○ちゃん」スタイルもレトロモードに変わっていくのだろうか。
 2006/05/31 15:44  この記事のURL  /  コメント(0)


こだわりマーケット VS.アバウトマーケット
 セレクトショップやブランドビジネスで“こだわり”や“完成度追求”が言われて久しいが、最近は逆に“こだわらない”事を売り物にするアバウトなマーケットが急成長しているようだ。その多くは「速い、安い」を第一要件とするファースト商品ビジネスだが、こだわる者、こだわらない者の明暗が逆転していたりして考えさせられる。
 アバウト商品の代表格は“部品のゆるやかな集合体”として知られるアメ車だが、その分、エンジンもボディも大きいわりにお手頃価格になっている。アパレルの世界でも安手なカジュアルの多くは“ゆるい”つくりで、その分、素材やパターンは適当で済む。“ゆるい”から着心地が楽ちんでうけているものを、こだわって素材やパターンを追求すれば着心地が窮屈になり魅力が損なわれてしまう。そんな馬鹿を真剣にやっているのを見ると身につまされる。アメ車の個性はアバウトでゆるいところに在り、ベンツまがいに完成度を追求しては魅力が損なわれてしまうからだ。
 アバウトだから魅力、あるいはこだわらないから「速い、安い」が実現している商品は結構多い。それを何が何でも“カイゼン”してしまうのは如何なものか。郊外SCの成功組と失敗組を見ていると、“アバウト”組と“こだわり”組の明暗に見えるのは勘ぐり過ぎであろうか。
 2006/05/15 16:08  この記事のURL  /  コメント(0)


薔薇の木陰で微睡む週末
 今年のGWは最長9連休ということで国内海外とも旅行者数が最高値を更新とか聞くが、何を好んで人混みの中に出掛けるのか。渋滞も人混みもうんざりだし、ばか高いシーズン料金も払いたくない。普段は有り余るマイレージでフリーのビジネスクラスを満喫出来てもGWは色々と条件がついて使いにくいし、車で出掛けるにしても10km単位の渋滞を覚悟しなければならない。よって、このGWは溜まった原稿執筆もかねてマイホームの緑陰で過ごす事にした。
 ナンタケットのボートハウスをイメージして設計した我が家はマリーナならぬカーポートの上がデッキになっていて、住宅街の通りからはワンフロア高く隔絶されている。デッキに立って薔薇の生け垣から身を乗り出せば、隣向かいブロックのフリース御殿(柳井邸)が垣間見える。身の丈の三倍もある石垣に囲まれた大仰な居城から、今朝もガードマンの敬礼に送られて主は黒いセルシオで出掛けて行った。
 フィットネスクラブで一汗流した後のけだるい午後、初夏の爽やかなそよ風が運ぶ微かな薔薇の香りに包まれ、デッキで値千金のひとときを過ごす。愛犬スヌーピー(ウェスティのレディです)が傍らで白タヌキのように居眠りするのを薄目で見遣ったり、白州二郎ものを乱読したりするうちに日は少しづつ傾き、ひんやりとした夕風にふと我に返る。今宵はお能のDVDでも流しながら久々にお気に入りのピノ・ノワールでも空けますか。
 GWが明ければ我が家の薔薇達も艶を競う季節になる。百以上の蕾みが一斉に開く様は宝塚のフィナーレのようで、デッキはむせかえるような香りに包まれる。梅雨のはしりが来るまで、当分はデッキのひとときが楽しめそうだ。
 2006/05/02 18:07  この記事のURL  /  コメント(0)


AEON MEETS ANY FASHION?
 3月28日に開業したイオンナゴヤドーム前SCに引き続き、4月26日にはイオン浦和美園SC、5月10日にはイオン柏SCと、イオン本体開発部門の手による大型SCが矢継ぎ早に開業するが、新設PBを目玉とするAEONファッション部門の変貌ぶりをマークしてみた。ジャスコらしからぬ米国デパート流の派手なVPには目を惹かれるが、肝心の新開発PBの出来は如何かであろうか。
 レディスでは団塊ジュニア向けナチュラルカジュアル単品構成の“persodea”、団塊ミセス向けタウンカジュアルの“ESSEME”をコーナー展開、ニューミセス向けタウンエレガンスでリズ・クレイボーンのセカンドラインたる“EMMAJAMES”、ラブリークィーンとタイアップしたフォーマル対応の“bo・dre”をショップ展開している。前二者は自社開発のPB、“bo・dre”はメーカータイアップ開発のPB、“EMMAJAMES”は一応NPBという事になろうか。
 ふたつの自社開発PBについてはカラーMD手法も一部に取り入れられているものの企画自体は凡庸で、仕上げ面も他の量販PBと大差無くアイテムの重複も目立つ。何のために鳴り物入りで打ち出したのか意味不明というのが実感。“EMMAJAMES”は従来のミセス感覚からは若返って感度も仕上げ面も向上したが、本来のリズ系NPBという性格は失われてしまった。“bo・dre”はVPのインパクトはともかく、今さら量販系メーカーとのタイアップPBというのは芸が無さすぎる。というわけで、レディスについては大山鳴動ネズミ一匹と総括せざるを得ない。
 メンズでは団塊ジュニア向けカジュアル単品の“sortisso”をコーナー展開、団塊アダルト向けビジネス/ビジカジの“inteant”、コンテンポラリー(中間世代)向けビジカジの“Full House”をショップ展開している。“inteant”はNPBの“ケンズ・アイ”をショップにまとめただけで目新しさはなく、MDにもVMDにも見るべきものがない。“sortisso”は自社開発PBの枠内ながら加工の面仕上げが上手く、カラーMDや個々のデザインセンスにも光るものがある。紡績からのカラーMDで組まれた“Full House”は大手アパレル系のNPBに見えるほど完成度が高く、今回の新規PBでは突出した存在。これが自社開発PBというのなら(開発体制を知りたいものだ)、イオンの商品開発力は一線を超えた事になる。
 総じてレディスは肩透かしの出来だったが、メンズの“sortisso”は量販PBとして及第点以上、“Full House”はPDSのNPB役が勤まるほどの出来過ぎと総括したい。
 イトーヨーカ堂のPBラインナップとの比較ではレディスはどちらも失望ものだが、仕上げの上質感でリードするイトーヨーカ堂のほうがまだまし。メンズはどちらも高く評価できるが、イトーヨーカ堂は各PBの面とフィットが近すぎてカバーが片寄っている事、ジャスコは各PBの布陣がスポット的で全体像が見えない事が指摘される。どちらもレディスとメンズカジュアルは量販店の枠内での進化で想像の範囲内だったが、メンズビジカジは郊外百貨店と顧客が重なるPDSの領域に入った事が注目される。
 まだ一部の店舗を見ただけで結論を出すのは早すぎるから、4月末から5月にかけて両社の新店/改装店を精査し、きちんと総括したいと思っている。

紡績からのカラーMDが目を惹くコンテンポラリー・ビジカジの“FULL HOUSE HOMME”
 2006/04/13 09:16  この記事のURL  /  コメント(0)


下町で育ったイトーヨーカドーが下町の顧客を切り捨てた
 日曜日に千代田線に乗って遥々、亀有まで行って来ました。3月3日に開業した「アリオ亀有」とアンカーのイトーヨーカドーをチェックするためで、「こち亀ゲームパーク」や両さんの銅像が目当てではありません。開店の遥か前にテナント募集パンフレットで施設レイアウトをチェックした時、休日のカーアクセスは大渋滞が避けられないと解りましたから、地下鉄を利用したのです(代々木上原から我孫子行きで直通)。現地に行ってみると案の定、施設を一周する片道一車線の公道は入り待ちの車でギッシリで、環七にも延々と入り待ち車が連なっていました。これでは予測通り、週末商圏は限定されざるを得ません。

 駅から寂れた商店街を横目で見て狭い歩道を3分ほど歩き、環七を越える横断陸橋のエスカレーターに乗れば、そのまま「アリオ亀有」二階のモール入り口に繋がります。モールに吸い込まれて行く人々を見ると、下町ぽいおじさんやおばさん、ヤンキーな若者やニューファミリーがほとんどで、百貨店や山の手の郊外SCとは一目見て服装が違っていました。モールは大変な混雑で擦れ違うのも気を使うほどでしたが(イオン系モールに較べると通路が狭い)、「アリオ蘇我」同様、イトーヨーカド ーの中までモールが回り込む一体感のある構造で、とてもコンパクトな印象を受けました(店舗面積42,120平米と今どきのモールにしては小振りです)。年間売上目標は270億円と公表されていますが(計画発表時は300億円だったのに)総投資額も270億円ですから、土地から購入して開発したとは言え資本回転もイオン系と較べるとふた回り低いようです。ちなみに、当社のシステムで予測した初年度売上は上限289.4億円でした。

 モールには今風のテナントが並んでいましたが、なぜかワールド系は“ザ・ショップTKキクチタケオ”だけ、オンワード系も“anyFAM&anySIS”だけと力が入っておらず、“ユニクロ”や“無印良品”“アカチャンホンポ”といった量販的なお店が目立っていました。その中で、“コフィコレクト”“&byピンキー&ダイアン”といったキレイ目なお姉さんのお店は場違いのようでお客も入っていませんでした。いっち輝いていたのは一階の“ブックス・キディランド”で、書籍の編集と連動した玩具やファンシーのクロス・マーチャンダイジングと質感のある環境演出には世界のお店を見て来たプロもグイグイと惹き込まれてしまいました(なんとギディランドは元々、本屋さんだったんですって)。

 藤巻チームが世に真価を問うたPB群を捜してイトーヨーカドーの衣料品売場に目を移せば、柱巻き最上部にでっかくロゴが巻かれ各コーナにもロゴが打ち出されているものの、あっさり上品に徹した商品のインパクトはいまひとつ。レディスでは団塊Jr向けの“Pbi”とミセス向けの“L&BEAUTIFUL”のテイストやカラーの重複が目立つし、“Pbi”のトラ味の強い商品は下町の顧客層には嫌われそう。一方でモールやジャスコに氾濫するヤンキーなグラマラスカジュアルは皆無だから、気取った山の手風品揃えに限定されていると言われても仕方ないでしょう。メンズではビジネスカジュアルを十歳刻みに細分化した“ジェントリーノ”“イスキア”“サボォイア”“マッキオ”の違いが出せず(商品の質感は百貨店級と評価すべき)、総じて各PB間の重複が目立つ平板で片寄った品揃えに感じられました。

 百貨店感覚の洗練されたPBと売場環境は意図したとおりと評価されますが、百貨店人の理屈先行で現場の実感や顧客層からの乖離がさらに拡がった事は否めません。下町で育ったイトーヨーカドーが下町の顧客を切り捨てて行く姿は自らの強みの否定であり、決してよい結果は招かないでしょう。
 2006/03/16 19:03  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール

小島健輔(こじま けんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。

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