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前々回に契約書のお話をいたしましたが、内容は店舗の転貸借契約書なのですが、表題が“業務提携契約書”となっている実際の契約書を目にする機会がありました。 両社がマインドレベルで共鳴しあっての契約と伺いましたので、それはそれでいいのですが、基本的な確認事項が脆弱であることと、かなり特殊な特約が入っていることが気になりました。 現在小売業を営んでおられる方から当該物件の転貸借を受ける訳ですが、原契約書の内容の確認ができていません。原契約が、旧の借家契約なのか定借なのか、さらには転貸借禁止条項はないのか、そもそも契約当事者に当事者能力はあるのか、など心配なことがいくつかあります。 家主さんが年配の方だから人と合うのがいやなのでということで、オーナーとの面会もできておらず、登記簿の閲覧もしないままの契約となってしまったようです。 また、更新可能な10年の定期契約なのですが、中途解約の場合に解約を申し出た側が数百万円のペナルティを支払うという特約が入っています。家主の側にもペナルティ義務があるということと、半年間の催告期間のリスク(家賃)以外にも10年未満の解約に際し借家人側にも大きな負担となる特約です。家主の側にもペナルティということには貸す側の意気込みを感じますが、反対に借りる側が必要以上に重たいリスクを背負わせれている感が否めませんでした。 よく聞く言い分に、「お互いに波長が合って、信頼しあっているのだから契約書など要らない。」という趣旨の内容がありますが、企業法務的には全く正反対のスタンスをとらねばなりません。信頼しあっているからこそ、その証を書面にしたためておくのだというスタンスです。 さらには、信頼関係というものは時系列で変化するものです。仲の良かった夫婦なのに離婚の調停で凄惨なバトルを繰り広げる例も少なからずありますよね。 法務部時代のボスに結婚式の主賓をお願いしたのですが、彼の教えは次の通りでした。「契約書には平常どおり上手くいっているときのことなど、それほど詳しく謳う必要はない。お互いにすれ違ったとき、さらには究極のすれ違いである別れるときの条件については、こと細かく決めておく必要があるのだ。すなわち契約書とは別れの条件をしたためた書面なのだ」と。 結婚を間近に控えた25歳の若造には、あまり深い意味はわかりませんでした。 |




