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加護野忠男先生還暦記念コンファレンスにおける三品和広先生、金井壽宏先生、加護野忠男先生、それぞれのご講演から抄録をば。 いずれの先生方の議論においても、私たち実務家にとって大変示唆に富む“対極の概念”が示されましたので、その軸でお三方のお話しを披露させていただきます。 まず、三品先生は、“大企業vs中小企業”。 大企業においては事業部長クラスでも事業システムを設計する自由度は皆無である。そこにあるのは、過去からのしがらみや組織間の利害関係などの制約条件との闘いのみである。 片や中小企業のトップは全部が見渡せているので、自分の身を何に対してさらすのか、さらさないのか。どうすればいいのか、何を考えていけばいいのか。それらは全てトップのやる気と工夫次第である。 その上で、加護野先生は小さな渋い会社がお得意だが、ご自身は不得意だし手を出さないと…。深いですね。 次に、金井先生は、“エージェンティックvsコミューナル”。 エージェンティックとは、強い意志をもって何かにかきたてられて一心に打ち込むようなパワーを指し、コミューナルとは、同じ何かでつながっている集団がもつ力のことで、三隅二不二先生が提唱されたPM理論のP(目標達成機能)とM(集団維持機能)に近い概念です。 それぞれ、どちらか一方だけが尖りすぎると問題があるが、我々は組織やパートナーとの関係性において、様々な場面においてそれぞれの力を必要としているのです。 最後に、加護野先生は、“取引コスト論vs取引利益論”。 特に経済学が取引コスト論一辺倒である現状に対して、なぜ取引利益論と言わないのかという一石です。取引コスト論は相手はズルをするという性悪説を前提に機会主義的に不確実性を制御しようとするものですが、一方もしくは双方がより大きな利益が得られる可能性を、能力形成、調整、協働などの視点から議論しないのかと。 景気もファッションの流れもΛ(ラムダ)字に頭を打ってしまったアパレル業界では、やわら新規出店が縮小し、不採算ブランドンのリストラが行われ、コスト削減が叫ばれて、“取引コスト論”一色に染まってしまいます。右肩上がりの時期に“取引利益論”的に上手く事業システムとしての仕組みの構築ができていないから、状況が一変したら猫も杓子も“取引コスト論”に終始せざるを得ない…。 残念ながら、アパレル業界は加護野先生が憂う経済学と同等レベルのようで…。 |




