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24年の歳月を経て(2)
総合商社の新入社員の方々との三日間の真剣勝負が終了しました。

 ずっとしゃべりっ放しという訳ではありませんが、さすがに連続して合計26時間のプロセスオーナーを貫徹するとさすがに疲れました。とはいえ、強くコミットできた研修の後にいつも感じることですが、それは自己破壊的に沈殿する疲労ではなく、次なる自分に繋がる正のエネルギーとして創造的に蓄積するとてもさわやかな疲労感です。

 私の社会経験の年月を下回る年齢の方々を面前にしていることに改めて驚愕(おおぉ、こんなにオッサンになってしまったのか…)しながらも、全く違和感なく時間を共にすることができたのも、受講者に皆さんの素材としてのレベルとモチベーションの高さによるものと感謝しております。

 随所で、「私のビジネススキルの源泉は、実は皆さんの先輩から授かったものである。」ことを引用しながら、予め用意されたプログラムの他に、私がその先輩から教わった原理原則をいくつも紹介させていただきました。教わったから、教える。借りたから、返す。授かったから、捧げる。人間にとってごく自然で、当たり前の感覚ですよね。法律とか宗教の前に、そのような哲学的普遍的モチベーションが我々には生まれながらに備わっています。

 法律の世界も、普遍的で一貫した思想で貫かれているからこそ、法が法たる所以ですが、少なくとも一つ腑に落ちない二つの規定が知的財産権の中に共存しています。それは、特許で保護される発明と不正競争防止法で保護される営業秘密です。特許法の思想的根拠は、「人類にとって発明という行為が奨励されて無限に生み出され続けることは文明の発展を通じた社会の進化にとって不可欠のものであり、そのような発明が容易に他者に模倣されることでオリジンを生み出すモチベーションが阻害されることがあってはならないので、逆に一定期間は発明者に独占排他的権利を付与してそのモチベーションを維持する。」という考え方です。

 片や、不正競争防止法の下で保護される企業秘密は、「経済的競争はフェアに行われるべき(この点では独占禁止法の思想に近い立脚点ですが)という考えに基づき、物理的な犯罪である窃盗の構成要件を援用したスキームに支えられています。経済的競争や物理的犯罪は我々人間が後付けで行っている手段としての行動に過ぎず、人としての本質的目的や衝動と比べると一段下のレイヤーに属する行為と言うことができます。

 つまり、特許法は人間の本能的衝動を奨励、保護するためのものですが、営業秘密は人間の下衆な利己的な衝動を律していることになります。ここで、本能=利己という前提をおいてしまえば、同じ思想であると考えることもできるのですが、私は人間が持っている本能的自己実現欲という意味での本能と下衆な利己とは全く次元が異なるものと考えます。

 前者は生態系という、より上位の生命体の中に存在する遺伝子としての人間が次の世代に進化的突然変異を期待しながら情報を伝達していくことをミッションとしているのに対し、後者は当世すなわち自分だけがとても下品な利得を得られることができれば、後のことは「わしゃ、知らん。」というスタンスに過ぎないと私は考えます。特許法は前者に依拠していますが、営業秘密の保護は後者の位置づけとしか感じられないことが私が腑に落ちない理由です。

 情報を出すから情報が得られる。情報を得たから情報を出す。この本能的衝動に対する自由度が狭くなってきたことが、私が前の会社を卒業することを決意した大きな理由のひとつです。今回も、そのような私らしさを存分にさらけ出すことができる機会を与えてくださった関係諸社および諸氏に感謝するとともに、何よりもそういう私に対して最大の反応と相互作用をしてくださった受講者の新入社員の皆様に深く感謝申し上げます。

 受講生の皆さんの中で本稿を読んでくださった方は、当日学習した“ストローク”の応用編の議論だと理解していただけると幸いです。

皆さんに輝かしい未来のあらんことを祈念いたします。
 2008/04/13 05:26  この記事のURL  /  コメント(2)  / トラックバック(0)

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三島さん

コメント、ありがとうございます。

月曜日が東京日帰り、火曜日が関西で夜のお付き合い込み、水木と再び東京で、ストロークが遅くなったことお詫びいたします。

明日からは、自分の勉強のために加護野先生とともに社会人大学院のOB十数名で、岡山の精密機械工場およびバイオ系研究施設の視察と研修の三日間に突入します。
その内容および、得られた知見については追ってUPいたします。

三島さんは、研修当日、とても印象に残った数名の中のお一人でいらっしゃいます。今後とも、お互いに切磋琢磨いたしましょう。
Posted by:北村禎宏  at 2008年04月17日(木) 23:44

北村様
三日間の講義、ありがとうございました。
講義でお世話になった三島です。
研修では実に様々なことを教えていただきました。
そもそも理系の私が技術者ではなく、現在の会社に入社を決めたのは、川上から川下までを考える仕事がしたかったからです。
そのような私にとって、論理的に考えるという作業はクオリティーは別として意識して行えていましたが、アウトプットをイメージして行うことは意識できていなかったと痛感しています。
現段階での長期的な目標は、経営のプロになることですが、そのおために絶対必要だとおっしゃっていた質問力と、私が絶対必要だと考える強烈なオ−ナ−シップを身につけていきたいと考えております。
これらのことを思い描きながら、日々の業務をただ単にこなすだけではなく、三日間ご教示いただいたことを常に意識しながらおこないたいと思います。
また今後もご相談などさせていただきたいと思っておりますのでよろしくおねがいいたします。
最後になりましたが三日間本当にありがとうございました。
Posted by:三島将行  at 2008年04月13日(日) 12:03


プロフィール

北村 禎宏(きたむら さだひろ)
ファッションビジネスコンサルタント
アパレル企業での実務経験とMBAの経営理論を融合させ、クライアントの問題解決やアドバイザリー機能を提供。
「アナログ」と「デジタル」、「実践」と「理論」のハイブリッド型コンサルティング活動を実践するとともに、教育・研修事業も鋭意展開中。

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