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息子の結婚式は親の卒業式
29歳になる長男が結婚式をあげた。式の準備から披露宴まですべて、二人任せ。頼まれればすこしは手伝いもしたが、98%は二人で仕上げた。もちろん全費用息子持ち。こちらとしては「いい伴侶が見つかってよかったね。 バンザーイ、」と肩の荷が下りた感じである。

結婚式といえば、若い人の門出であるが、一方で、親の卒業式でもある。若い二人が親の巣から離れ、自立していく。今まで親の庇護を頼りにしていた子供たちは、いつか自分たちが親になり、自分たちの子供を庇護する責任を担う。順繰りのルール。
親のほうはここで卒業して、あらたな立場を築かなければいけなくなる。それは姑という新しい呼び名が付加されることであり、おばあちゃんと呼ばれる日がくることでもある。

「息子さんを取られた気がするでしょ」と問われたが、そんな気持ちは微塵も沸いてこない。自分でも不思議なほど、「よかった」と心から思っている。それは彼が選んだ伴侶がとても可愛くて、明るい人だからかもしれない。この女性となら、きっと素敵な人生を歩めるだろうと人生の先輩として確信に似たようなものを感じるからかもしれない。人生伴侶次第。お互い助け合い、高めあい、尊敬しあえる仲が築ければ、ああ、この人に会えてよかったと歩んできた道を振り返る日がきっとくる。

それにしてもいまどきの結婚式はちょっとおもしろかった。これといった派手なパフォーマンスもない代わりに、友人達の愛のこもった短いメッセージが続く。その中でも秀逸だったのが、中学のころからの旧友の言葉であった。息子の思いやりの深さを語るその旧友の言葉をききながら、彼らが犬ころのようにじゃれあって過ごしていた日々を思い出した。私達家族と一緒に過ごした日々を彼は覚えていた。感謝の言葉が胸をつく。彼の言葉を聞きながら、目頭が熱くなった。彼も立派な大人になったのだ。


結婚式だから、もちろん涙のシーンは演出されている。「花束をもらうときに泣かないようにしなくちゃ」と準備していたら、その前に涙がでてきてしまった。花束贈呈の前に花嫁が花嫁の母にむけて手紙を読んだからだ。お世話になった母への感謝状。それはTVドラマの中では当日の朝、実家を出る前に済ませてくるのだが,いまどきは結婚式で読むんだそうだ。友人のお嬢さんの結婚式でもお嬢さんが母である友人にむけ手紙を読んだと聞いて、ちょっとおどろいた。

「嫁入り」という感覚はとっくのとうになくなっていると思っていたからだ。これは時代の逆流。嫁に入る感覚がなければ、きっとこんなシチュエーションは設定されないのだろう。それとも結婚式場が最近、こんな演出を売りにしているのだろうか。

もし、二人がそれぞれ家を出て、独立していくのであれば、息子から両親への手紙があってもいいはずだ。しかし、なぜか、息子からはなにもない。なんだか、損した感じがした。私だって、母なんだけど、なんて心の奥底でおもっていたのはいけないことかしら。それにしても、嫁vs姑なんて構図をつくっているのは、本人達より、世間の意地悪な期待かもしれない。早く、こんな意地悪な期待からは脱却しましょうね、みなさん。いい人間づきあいをすればいいだけなんだから。

若い息子達夫婦を守るためなら、私達夫婦はどんな手助けもするだろう。親の卒業式なんて偉そうなことをいいながら、なかなか、親業から卒業できないのが現実らしい。ま、ぼちぼち、あわてずに、卒業していきましょう、ね。若い二人に幸多かれ。


 2007/04/26 23:56  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)


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プロフィール
蟹瀬 令子(かにせ れいこ)
上智大学文学部英文学科後、博報堂に入社し、コピーライターやコピーディレクターとして活躍。
1999年、「ザ・ボディショップ」を日本で展開するイオンフォレストの代表取締役社長に就任。
ケイ・アソシエイツ代表として、外資系企業、および国内企業のブランディング、マーケティングを手がける。2007年スキンケアブランド、LENAJAPONを立ち上げ現在にいたる。

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