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小さな車はよく吠える
 私の愛車はゴルフのGT.I。黒のボディに黒皮のいす。昔から小回りが利き、それでいてちょっとスタイリッシュで存在感のあるゴルフが大好きだった。7年前、新しい仕事に就いたとき、足代わりに新車を購入。カラダの一部にもなっている車であるが、先日、駐車場の柱でこすってしまった。来年出版予定の本の脱稿に半徹夜状態だったので、疲れて感覚がずれていたのが原因らしい。あと1ヶ月で新年だというのにまったくついていない。しかし、こんな時私は決してめげないのだ。「ああ、車が厄払いしてくれた、ありがとう」と思ってしまう。というわけで、愛車は修理工場へ。

 その間、フォルクスワーゲンの小型車、ルポを代車として借りることになった。窓の大きなルポを運転していると、まるで、ショーウインドウの中にいるような気分になる、しかし、ゴルフよりコンパクトだから小回りがさらに利くという点では、東京のクモの巣のような道を縦横無尽に走るのにはぴったりだし、駐車場にも停めやすい。苦手な縦列駐車もばっちり。

  さて、道路に出てみて驚いた。ゴルフを運転している時と、周りの車の反応が違うのだ。とにかく、こちらは小さいので、トラックや営業用のバン、大型の外車などが大きな顔をして、前に割り込んでくる。たった2つの信号を進む間に6台の車に割り込まれてしまったときはさすが、頭にきた。降りていって文句を言おうかと思ったくらいだ。大きな車が接近してくると、こちらはなんだかつぶされそうな気分になるので、よける。その弱気な運転を突いてくるのだ。まったく、いい加減にしてほしい。

  青山に向かって246号線を走っていると、タクシーが迫ってくる。ううう、こんな時は後ろ向きに鳴るクラックションがほしい。車の屁みたいなもので、やっつけたい。横にもトラックが攻めてくる。横にもクラクションがいる。いや手のつっかえ棒みたいなものがいる。ディズニーの漫画にでてくるような、ほら、あれ。

  私が借りた車の色はレモンイエロー。信号の「注意」の色に似ているので、みんな注意してくれると思っていたら、おっとどっこい、逆に目立つ分、いじめにあう。道路上のいじめだ。まったく、なんちゅうマナーの悪いドライバーばかりなんじゃと余計に怒ってしまう。で、いつもはめったにならさない、クラックションをぱっぱか、ぱっぱか、ぱー。コレじゃ、まるで、スピッツだ。犬の世界の小型犬よろしく、車の世界で、小型車は大型車に吠えまくらなければならない。道路上でもこんな力関係が働くことを知って、ヤッパリ、運転しているのは人間なんだ、と思ってしまった。

  日本のドライバー諸君、もう少し、小さい車にやさしくしてくれないかな。頼みます。
日本の道路には小さい車のほうが役に立つんだからさ。ね。小さい子にはやさしく。

 2006/12/07 02:09  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

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プロフィール
蟹瀬 令子(かにせ れいこ)
上智大学文学部英文学科後、博報堂に入社し、コピーライターやコピーディレクターとして活躍。
1999年、「ザ・ボディショップ」を日本で展開するイオンフォレストの代表取締役社長に就任。
ケイ・アソシエイツ代表として、外資系企業、および国内企業のブランディング、マーケティングを手がける。2007年スキンケアブランド、LENAJAPONを立ち上げ現在にいたる。

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