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ロドリゲスは、当地のインド系にしては珍しいクリスチャンで、 名刺にもカトリック名だけを印刷している。 交渉の席ではマノに調子を狂わされ、感情のコントロールを 失ってしまった。駆け引きを行う当事者としては、命取りのミ ス。インド系のスパイスに過剰に反応してしまった。 そもそも、こちらには何の落ち度もないわけで、最初から弁護 士さんにお願いし、経過を見守るだけの立場をとることができ れば、それがベストの選択肢だったと今でも確信している。 ただ個人の限られた資金で、月ごとに上がるわずかな利益を コツコツと溜め込んでいるような経営状況では、高みをきめこ むような余裕はなかった。 それに、外国人を相手にどこまで自分の思惑通りに交渉を進 めることができるか、ちょっとした好奇心に駆り立てられていた のも事実だった。 「同じ客商売をしているものとして、今回の被害が営業に及ぼ す深刻な影響は十分に理解できる。当レストランも以前、ゴキブ リが大量発生したことによって駆除と対策で臨時休業に追い込 まれたことがある」とロドリゲス。 「われわれとしても最大限の補償に応じたい。だが、リストに計上 されている賠償請求はあまりにも高額だ。そこで、廃棄して新調し た備品は新品の価格ではなく、廃棄品の中古価格として算出し、 1日半の営業補償には全額応じる。フロアと壁の修復については、 見積もりを出した業者ではなく、当レストランが指定する業者に任 せるという条件で妥協してもらえないだろうか?」 おだやかな口調に加え、フェアに聞こえる条件提示。マノをスパイ スに仕立てたロドリゲスが差し出すヨーグルトに当たり、これ以降、 腹部に違和感を覚えたまま日々を過ごすことになる。 |




