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居合わせたお客様にご迷惑をおかけしたこと、 それに伴うお店のイメージ悪化、スタッフの精神 的ショック等々、事件の後遺症が甚大であること は疑いようがない。 ただ、幸いなことに実損額としては、キャッシャー とモデム、電卓1台の交換、それと床や壁のメン テナンス費などにとどまり、さして大きな額にはな らなかった。 事件後の対応によって、お店を半日休業しなけれ ばならなかったこと、それに後遺症の対処療法費 を含めて、実費の4倍くらいが妥当と判断。そこを 目標に交渉に臨むことを決めた。 まず、内装業者さんに頼んで、フロアを新品同様に し、壁を全部塗り替える見積もりを出してもらった。 さらに、事件翌日の定休日を営業日だったことにし、 1日半分の営業補償と奇跡的に助かったノートパソ コンの弁償金を上乗せして、実損額の約15倍を損害 賠償請求として文書化し、示談の場へ出向く。 話し合いの場所は、当事者であるレストランの個室。 ドイツ人オーナー、インド系のゼネラルマネジャー、 フロアマネジャーのマノ。この3人に、サロンの経理 をお願いしている中国系のウォンさんと僕は2人で 対峙した。その他には、入居ビルのマネジメントから 担当者が2人出席している。 冒頭、マノが笑顔で飲み物をそれぞれのテーブルに 運ぶ。食事は何がいいか、これがお勧めだ、アレは 絶品だと全員に愛想を振りまく。 入居ビルの担当者が、メニューを指差そうとしたとこ ろで、「ノーサンキュー。話が先だ」と口火を切り、立 ち往生するマノを席に戻した。 マノは当惑した顔で、GMに視線を移す。GMは、こ ちらが準備した賠償請求の書類に目を落としたまま、 マノに圧力をかけているような様子だった。 |




