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エアコンの効いた室内で、午後の始まりにコーヒーを挽き、 ノラ・ジョーンズの優しい響きとスマトラ豆の香りに目を閉じ るひと時。04年9月にマレーシアで小さなヘアサロンを立ち 上げるまで、32年間の人生にはまったく無縁の空間だった ような気がします。 『ずっどーん』の悲劇は、そうした昼下がりに起こりました。 大きな音とともに、天井からパイプの一部が抜け落ち、直後 に強力な異臭を放つ濁った水がドロドロと流れ落ちてきまし た。サロン内にいたスタッフは騒然。この事件によってはじ めて、むき出しの天井を走るパイプが、上のレストランのキッ チンに通じるものと知りました。 フロアの清掃とパイプの修理が一段落すると、損害賠償の 手続きを始めなければなりません。 異国の地、たった1人、言葉の壁、法解釈への戸惑い、奇想 天外な相手の対応。たった15万円程度を勝ち取るのに、丸1 年もかかってしまいました。 こうした出来事の連続により、僕にとって、海外での初めての 起業は、望むと望まざるとにかかわらず、脳みそまで筋肉に 鍛え上げる日々を送ることとイコールになったようです。 このときは相手の予期せぬ言動に驚かされることが多かった のですが、この地で畑違いのサロン経営に乗り出すと言い出 した際には、勢いで唐突に、しかも激しく動き出した僕自身が、 周囲を困惑させてしまったことを鮮明に覚えています。 ここで、恥さらしついでに突拍子もないことを言わせていただ ければ、僕の原動力は、ファッションを通じて日本人とアジア の人たちの距離が近づくことを夢見ることにあります。 日本がアジアの一部であることを承知の上で、あえてこういう 書き方をしたのは、共通項は多いにもかかわらず、アジアの 人たちと僕たちとの距離は、一度も会ったことのない曾じいち ゃんとのそれと同じくらい遠いと感じることが多いから。 黒い目、似たような骨格、黒髪を魅了するかっこよさやかわい さが伝来すれば、必ずアジアの人たちの共通項をくすぶるは ず。 逆に、すしブームに沸く国があると聞けば、なぜか小さな親近 感を覚えるように、日本発のファッションを受け入れる人たちの 数が広がれば、アジアに目を向ける日本人の数も増えるはず。 こういう話をアパレルウェブの千金楽社長にお伝えしたら、同社 のサイト内にてブログを開設する機会を与えていただきました。 今後は冒頭の事件の続編や、その他の珍事、現在進行中のプ ロジェクト、それからリアルタイムの東南アジア情報などを力任 せに発信していきたいと思っています。 初回にあたり、ご多忙にもかかわらず、ブログ環境を整えてくだ さった関係者の皆様に厚くお礼申し上げます。 |




