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大原孫三郎のこと

 日本繊維産業はその黎明期から多くの偉大な人材を輩出してきたけれども、単なる経済人の枠を越えて、近代日本社会思想史にその名を刻むのが、クラボウの2代目社長・大原孫三郎である。近代日本を代表する資本家でありながら、社会事業家の石井十次を支援し、洋画家・児島虎次郎のパトロンとして名画の収集と公開事業を行うなど、そのユニークさは群を抜く。
その大原孫三郎の社会貢献活動を紹介したクラボウの広告「やる可し、大いにやる可し」シリーズの冊子版(写真)が、このほど完成した。大原美術館、倉敷中央病院、労働科学研究所、大原奨農会、石井記念愛染園などが紹介されている。
 これに加えて記者は、大原孫三郎の功績として大原社会問題研究所(大原社研)の設立を特筆したい。日本における社会政策学の始祖・高野岩三郎を所長に1919年に設立された大原社研は、櫛田民蔵、大内兵衛などの研究者を擁し、日本における非共産党系マルクス主義経済学(いわゆる労農派)の牙城として、戦前の厳しい取り締まりのなか社会科学研究の灯を守り抜いた。
 のちに東京大学教授として、やはり非共産党系マルクス主義経済学である宇野学派を率いることになる宇野弘蔵も、若き日に大原社研で研鑽を積んだ。その意味での大原社研、そして大原孫三郎の功績は、近代日本社会思想史・経済史に名を刻むといえよう。大原社研はその後、法政大学に移管され、法政大学大原社会問題研究所として現在も日本の労働問題研究の総本山となっている。(U.M)
2008年01月29日(火)  06:07  / この記事のURL

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